築山公認会計士事務所(大阪市北区与力町1−5与力町パークビル7F)
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起業したい(会社の設立)
(内容)2014年7月15日現在
●当事務所では、起業時の特殊性から起業時独自の関与形態を用意しております。詳細は、「事務所の概略」、「概略と業務内容」の「起業サポート」をご覧ください。
≪起業と会計事務所≫
多くの先発企業は、会計・税務、企業関連法務などに無頓着なまま見切り発車しています。わが国には、「税務署ともめたときは先生(税理士)が適当に」「どうせ、税務調査になれ
ば手土産を持たせないといけない(訳なく追徴課税される)」などの風土があり、これが「数字に弱い経営者」を多数生んでしまう一因となっています。ありきたりの説明かも知れませ
んが、「右肩上がり経済の時代」はこれでも通用しましたが、現在の不況下において「数字に弱い経営者」ではどうにもなりません。
「集金と支払い(資金繰り)が順調ならば、自己流でもいいではないか。数字に強いからこれができているのだから」との考えもあるかもしれません。しかし、「数字に強い」とは、結果
的に資金繰りが間に合っているということだけではありません。自社の経営数値を、決算書や試算表などの「一般的・客観的方法」で捉え、外部の第三者(金融機関や税務署など)
も納得できる説明ができるということも大切であるのです。さらに、客観的基準からして外部の第三者が自社をどのように評価しているか察して、それに応じた行動ができなければ
なりません。ここまでできないと外部の第三者の理解も協力も得られません。(事業が順調なときはともかくとして、窮地を凌げません。)
「俺の考えについてこい」「許してくれるだろう」「よそも同じだ」は甘いです。
先発企業の中には、笑いが止まらないほど「数字に弱い会社」が存在します。このような会社を見習ってはいけません。「適当にやっていればいいんだよ」「真面目にやれば損する
よ」「税務署を煙に巻いてやった」「会計事務所がごまかしてくれた」「銀行も気が付かない」と、得意げに語る先輩がいるかもしれません。その際は、「うちの面倒を見てください」「そ
の会計事務所を紹介してください」「いわれたとおりにやってみますので、失敗したときは責任を取ってください」と、たずねてみることです。必ず、その人は口ごもるでしょう。
事業者同士はそれぞれの会社の内容を正直に語りませんので、注意が必要です。
一定期間経過してからの「方向転換」は、そう簡単にはできません。起業を考えた時点から、「数字に強い経営者」を目指されることをおすすめいたします。それには「会計事務所と
いう専門業者」を活用することが企業経営上効率的です。多くの場合、会計事務所の本領は、「事後処理」よりも「事前相談(対策)」において発揮されることをお忘れなく。
≪起業時の経理≫
そんなに難しく考える必要はありません。まずは、次のことを心がけてください。
(1)事業と私生活を区別する
経理業務の終着駅である決算書や税務申告書は、日々発生する収益と費用、資産や負債を正確に把握していなければ作成することはできません。生活費は、事業から得た資金
から毎月特定の日に引き出し(会社の場合には役員報酬として)、その中から賄うことです。そうでないと、事業の損益に私生活の費用が混入するからです。
(2)個々の入出金を正確に記録する
比較的簡単だと思います。入金については預金通帳など、出金については領収書を残しておけばよいからです。しかし、単なる入出金記録だけではなく、「何時」「誰から(誰に)」
「どのような理由で」も記録しておく必要があります。
「自分は雇われ経営者だ(従業員だ)」
このような考えを前提に経理作業をすることが大切です。(1)や(2)がズサンならば、オーナーは激怒するでしょう。常に、「誰かに追及されたときは」ということを念頭に作業してい
れば、正確な記録が残ると思います。
≪その他≫
1.会計事務所は起業に当りどんなサービスを提供してくれるのか
会社設立登記(司法書士の紹介)、税務関連役所への諸届け、株主・役員構成の決定、事務所探しなどについての相談、立案、代行をさせていただいております。
2.会社設立手続は素人でもできますか
何とかやってみてください。会社設立手続を自身で行うことで、会社制度やそれに関する諸法規が自然と身につきます。これは大変重要なことです。他人任せにしていた社長さん
が、設立後、数ある書類に「会社実印」「個人実印」どちらを押印していいか右往左往する恥かしい姿をさらすことも珍しくありません。最悪の場合、思いもよらない結末を招きます
(無知による失敗が、意欲喪失、廃業、倒産などの原因となってしまう)。
【格安で会社設立手続を代行する業者】
最近は超格安(数千円)で会社設立手続を代行する業者が存在しますので、多忙な場合には依頼するほうが賢明です。ただし、「資本金」「株主構成」「役員構成」などについては自
身で「研究」するか会計事務所に相談するかしてください。
3.法人(会社)・個人どちらがよいですか
やはり法人(会社)形態がよいと思います。名義上、私生活との区別がつくからです。会計、税務、法律においては名義(実質がともなっている必要がありますが)が非常に大切な要
素となります。公私の区分、会社と役員の区分を明瞭にする習慣を創業当初から身につけてください。
4.法人(会社)と個人事業者の税務上の違い
算出する利益(おおむね所得)の捉え方が大きく異なります。
(1)会社の場合
利益=売上−仕入−人件費と諸経費(人件費に役員報酬=経営者取り分を含む)
利益には「法人税」が、役員報酬には「所得税(給与所得からの源泉徴収)」が課税されます。
(2)個人事業者の場合
利益=売上−仕入−人件費と諸経費(人件費に経営者取り分を含まず)
利益に「所得税(確定申告が必要)」が課税されます。
個人事業者が経営者取り分を受取った場合、「事業主貸勘定」という「資産勘定」で処理し費用に含めません。
長期間個人で事業を営んだ後に法人とした場合、役員報酬という考えに馴染めないことがあります。やはり、法人を検討しているならば、創業当初から法人にすることが賢明かと思
います。
5.個人事業者の法人成り
いつでも都合のよいときに法人成り、つまり個人事業者を会社に変えることができます。ただし、取引先への連絡、権利義務や資産負債の引継などに思いのほか手間がかかること
があります。ですから、法人成りはなるべく事業の閑散期を選ぶのが賢明です。
6.休眠会社を譲り受けたい
既存の休眠会社を譲り受ければ、商号(社名)、所在地、役員などの変更登記だけで済みます。しかし、休眠会社は過去に多額の負債を抱えて機能が停止している場合が多く、負
債の整理が済んでなかったりすることもありますので、あまりおすすめできる方法ではありません。また、長期間無申告で青色申告を取り消されていること、繰越赤字を控除できる
期間が過ぎていることなどがありますので、結局は安物買いの銭失いになると考えなければなりません。
7.株主構成は
創業時はできるだけ少人数(親族、近親者など)にするのが賢明です。将来、事業を取り巻く環境に変化が生じ、離脱を申し出る株主もいるからです。そのときに、離脱株主の株式
を誰がいくらで買い取るか、その財源をどうするかが問題となるからです。従業員持ち株制度や取引先の資本参加は、事業が十分軌道に乗ってからでも遅くはありません。
8.役員構成は
できるだけ長期間就任可能な人を選任してください。死亡あるいは喧嘩別れした役員がそのまま取締役として登記されており、後任者が見つからないケースがよくあります。
9.株主名簿
株主の氏名、住所、持株数は設立時だけでなく、以後変動したときも正確に把握しておいてください。会社がそれなりの規模になり不動産や有価証券の資産を保有するようになった
際に、各株主の持ち株数=所有割合が何かにつけ大切だからです。なお、株主の氏名などは登記事項でありませんので、株主名簿は自主的に作成する必要があります。
(注)法人税申告書の中に株主を記載した書類があります(別表2)。これは株主構成から税務上同族会社か否かを判定するものであって株主名簿ではありません。なぜならば、全
株主を記載しなくてもよいからです。
10.出資金額の回収方法
他の株主への売却、正式な減資手続(会社からの払い戻し)を経ないと回収することはできません。両手続とも大変厳格です。出資者には長期的な投資であることを十分説明して
おいてください。
11.役員数は
まれに大した理由もなく全従業員を役員としている(全員の意思を尊重する?)ことがありますが、あまり好ましくありません。ボーナスの支給が損金不算入となる場合があるからで
す。また、金融機関からの融資、事務所の賃貸借契約などの保証人が「役員は除く」となっていることがあります。数少ない駒(事業関連者)は有効に使わなければなりません。
12.資本金とは
設立当初の出資金額および設立後の追加出資金額のことで登記事項とされています。事業を開始して出資された金銭に増減が生じても、登記されている資本金自体は増加や減
少をしません。ただし、資産から負債を差引いた資本(正味財産、純資産)は増減します。また、資本金は当初出資時には預金ですが、会社が活動するにつれて商品、事務所の保
証金、車輌などに変化していきます。つまり、常時、資本金相当の現金や預金の保有が義務付けられているわけではないということです。
13.いわゆる見せ金
会社設立手続終了後、すかさず出資者に返金するいわゆる「見せ金」が行われることがあります。その法的な解釈(会社設立の無効、関係者の刑事罰)は別として、企業経営およ
び税務上、見せ金は好ましくありません。
出資者にすれば、一時的に貸したお金を返してもらったつもりでも、会社から借りているという不可解な扱いとなります。この場合、出資者は会社に返金するか、金利を払わなけれ
ばなりません。出資者が返金もせず金利も払わない場合には、元金と利息相当額が出資者に対する所得扱いとなり出資者は課税されてしまいます。
見せ金をしなければならないのでしたら、会社設立は断念したほうがよいと思います(あるいは資本金は少額にしておくべきです)。見せ金の形跡は帳簿や決算書に明瞭にしかも長
期間残ります。税務署ににらまれるだけでなく、金融機関の評価も最悪となります。
(注)見せ金により会社設立手続を代行する業者が存在するようです。その存在を全面的に否定するつもりはありませんが、彼らが設立後のフォローまでしてくれるのか確認してお
く必要があるのではないでしょうか。多くの場合、彼らに騙された社長さんに泣きつかれた会計事務所が「敗戦処理」をしているのが実情です。
14.現物出資
現物出資の場合、現物出資資産の評価の問題がつきまといます。また、出資資産の内容次第では設立後大変奇妙な処理が要求されます。たとえば、会社と無関係な住宅を現物
出資した場合、会社設立後そこに現物出資した者が住み続ければ会社に家賃を払わなければなりません。なぜならば、会社設立後はその住宅は会社の所有物となり、他人(会
社)の所有物である住宅に住む場合は家賃を払うのが当然だからです。家賃を払わない場合は、そこに住んでいる者に家賃相当額の経済的利益が発生する扱いとなり、それに対
して所得税が課税されます。
現物出資は、会社と直接関係する(設立後利用する)土地・建物、機械類に限定すべきです。なお、現物出資は出資者にとって資産の譲渡に該当します。譲渡益が発生する場合は
所得税が課税されてきます。不自然な、あるいは形式的な(会社にとって意味のない)現物出資をしなければならない場合は、会社設立は断念したほうがよいと思います(あるいは
資本金は少額にしておくべきです)。
15.資本金の金額
資本金は多いほうが世間体がよいかもしれません。しかし、資本金の金額はあらゆるところに影響してきます。まずは、各都道府県と市町村に納税する「均等割税額」です。1000
万円を超過すると大幅に上昇します(注)。さらに、交際費の損金不算入金額も資本金が増えるにしたがって多くなります。
(注)大阪府の場合は2万円から7.5万円〜、大阪市の場合は5万円から13万円〜へと増加します(従業員は50人未満として)。
16.寄り合い所帯
一社では何かと大変なので、複数社が共同して事務所を借り、従業員を雇うことがあります。確かに経済的ですが、税務上は複数会社間での費用負担関係が問題となります。意
図的に利益の出ている会社に費用を多く計上した場合(苦しい会社を救済した場合)、その一部が税務上否認されるおそれがあるからです。
17.事業年度(事業年度が終了する月=決算月)
都合のよい月にしてください。ただし、事業の特性に応じ、例えば衣料品小売(卸売)業なら季節変わりの2月か8月にするのが望まれます。なぜならば、事業年度が営業サイクル
の区切りであるほうが決算作業も比較的楽であるからです(在庫が少ない、売上代金の確定や回収が進んでいることが通常であるからです)。初年度は一年に満たないことが通常
で、さらに事業年度末は月末である必要はなく締日に合わせて20日などにもできます。
なお、税務申告は、事業年度末から2ヶ月以内に終了しなければなりません。大手企業の多くが3月決算(事業年度が終了する月が3月)であることから、訳なしに3月決算にする
のは賢明ではありません。事務量の少ない小規模な会社でしたら10月決算にすれば、決算申告と年末調整が同時に終了します(税金関係手続の大半が同時に終了します)。社
長さんが2月に所得税の確定申告が必要な場合は、12月決算にすれば会社の決算申告と個人の確定申告が同時に終了します。おすすめできないのは6月と11月です。決算作
業期間中に、それぞれ夏季休暇と年末年始休暇があり、作業効率が落ちるからです。(3月決算も決算作業期間中に連休がありますので作業効率が落ちてしまいます。)
事業年度は設立後も簡単に変えられますので、実情にそぐわない場合は至急変更しましょう。
18.自宅を登記上の本店とする
自宅を登記上の本店とし、他の場所に事実上の本店を構える場合があります。登記上の本店以外の場所でも会社の営業活動は行えますが、あまり賢明とはいえません。登記上
の本店と事実上の本店が別の自治体にある場合は、それぞれで上記15の「均等割税額」を納税しなければならないからです。
均等割は赤字でも課税されます。その際の納税は決して楽ではありません。もっとも、まずは自宅を移ることがない場合は、事実上の本店が移転しても「本店移転登記」が不要です
からその意味では合理的かもしれません。
自宅関係の費用を会社で処理するための「大義名分」を得るために、自宅を登記上の本店としていることがあります。税務署は、このようなケースに目を光らせていますのでご注意
ください。税務に限らず実質と名目が一致していることは非常に大切です。登記上の本店と事実上の本店はよほどのないことがない限り統一してください。
(注)自治体によっては登記上の本店が名目だけであれば一切の課税がされない場合があります
19.開業初年度も申告は必要ですか
法人と個人で異なります。法人は所得の有無に関わらず申告が必要です。個人は所得がない場合は申告の必要はありません。しかし、個人事業者でも赤字の繰越し、減価償却費
の必要経費算入を行うためには申告をしておく必要があります。また、各種税制上の特典を受けるため青色申告の承認は必ずしておいてください。
20.設立費用
設立準備中に会社設立のために要した費用や開業準備費用は、設立後の会社の負担となります。詳細に記録し、設立後に会社の預金から引き出してください。定款作成費用、設
立登記費用、開業準備に要したその他経費(交通費、通信費など)がこれに該当します。
21.本業で精一杯
起業当初は無我夢中で事務処理(特に役所関連)がおろそかになりがちです。しかし、事務処理を甘く見てはいけません。上記13の見せ金がそうですが、過去の不始末が明瞭に
残り、消しゴムで消すようにはいかないことがあるからです。起業後数年たって税務署、金融機関などに厳しい対応をされ大慌てすることも珍しくありません。そして、ほとんどの場
合に金銭的な打撃を受けます(追徴税額の発生、融資や補助金が受けられない)。創業後3年程度の会社に一番倒産が多いのはこのあたりにあるのではないでしょうか。
経理担当者や会計事務所が真顔で意見してきたときは、おっくうがらずに耳を傾けてください。将来、よその会社の社長さんから相談を受けたときに、「お前そんなことも知らなかっ
たのか。馬鹿だなあ。事業を起こすなんて10年早いよ」と、説教できるようになりましょう。
22.失業保険受給中
まれに、会社を設立し活動を開始しているのに、失業保険受給中の方がいらっしゃいます。その法的な扱いはともかくとして、大変申し訳ありませんが当事務所ではそのような方の
ことを「社長」とは考えておりません。あくまでも「失業者」です。早く次の職場を探してください。事業を開始する以上、退路を遮断し事業に専念すべきではないでしょうか。
(注)最近は失業保険を不正受給していることについての「告発」(特に前勤務先からの)が相当多いようですので、くれぐれもご注意ください。
23.役員報酬はどれくらい
所得税も社会保険料も大変ということで、役員報酬を極力低くする社長さんがいらっしゃいます。やはり、役員としての正当な対価を得なければなりません。役員報酬金額の税務上
の決定基準は大変抽象的ですが、従業員よりも少ないことなど普通ありえないのではないでしょうか。なお、役員報酬相当金額を他の名目で引き出すのは、税務上多大なリスクを
背負うことになります。
(注)上記22(失業保険)のために役員報酬を低く抑える(極端な場合ゼロにする)ことが多いようです。しかし、それでは会社に利益が発生し多額の法人税が課税されるので、なん
らかの名目で役員報酬相当金額を引き出すことが多いようです。当然、税務署は黙ってはいません。
24.役員からの借入
業績不振時や創業期の資金不足時に、役員が会社に資金を融通することがあります。会社との貸借関係は明瞭に記録しておきましょう。会社から返済を受けても所得にはなりま
せん。また、あまりにも会社への資金融通が多い場合は、役員報酬の減額も検討してください。上記23を必要以上に気にする必要はありません。
中小零細企業の場合は役員報酬が利益調整に使われる傾向にあります。そんなことから、会計事務所に厳しい「しつけ」をされ、役員報酬の変更を「罪悪視」する習性があります。
しかし、業績悪化を招いた張本人は役員でしょうから役員報酬減額(場合によってはただ働き)は当然の償いです。また、役員借入が無利息であるのも同様です。
●当事務所では、起業時の特殊性から起業時独自の関与形態を用意しております。詳細は、「事務所の概略」、「概略と業務内容」の「起業サポート」をご覧ください。
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公認会計士 築山 哲(日本公認会計士協会 登録番号10160番)
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