還付は誰がしてくれるのか?
年末調整の結果、税金が還付される(税金が戻ってくる)場合があります。
当然、還付してくれるのは会社です!
(内容)2012年8月4日現在
年末調整の結果、「毎月徴収してきた税額>最終的な年間の税額」となる場合には、還付(税金が戻ってくるという意味)をしてもらえます。当然、還付してくれるのは会社です。源泉徴収した(預かった)のは会社なのですから。
還付の方法(12月の給与明細の書き方)としては次があります。なお、いずれの方法も結果(最終的に徴収された税額)は同じです(下記の例では105,000円)。
毎月の源泉徴収税額が10,000円(年間で10,000円×12ヶ月=120,000円を仮の税額として徴収、賞与など毎月の給料以外はないとします)、還付が15,000円(最終的な年税額は105,000円)であるとします。(還付される金額は120,000円−105,000円=15,000円として計算します。)
(1)年内最終の給料の支払いで徴収と還付を行う
給与明細の「控除欄」で、徴収10,000円(プラス記入。控除欄のプラス記入なので支給額からは差し引きとなる)と還付15,000円(マイナス記入。控除欄のマイナス記入なので支給額に加えることになる)の2段記入する。
いつもの月よりも手取りが5,000円増えるということです!
(2)年内最終給料の支払いで還付のみ行う
給与明細の「控除欄」で、還付5,000円(マイナス記入。徴収10,000円から還付15,000円を差し引いた金額)を記入する。
いつもの月よりも手取りが5,000円増えるということです!
(3)別途還付する
年内最終の給料では、通常月と同様に10,000円の徴収を行い、還付15,000円は別途手渡す。(従業員にとっては、還付されたという実感が湧く方法で、年内最終出勤日や年初の初出勤日に還付することが多いです。翌年1月の給料に加算することもあります。)
■追加徴収となる場合
このような場合も当然あります。給与明細の控除欄の所得税は、いつもの月よりも多いということです。
■会社が源泉所得税を納税していないようだ・・・
源泉徴収しておきながら、源泉所得税を税務署に納付していない会社もあります。しかし、従業員(源泉徴収をされる側)としては気にする必要はありません。当然、年末調整の結果次第では還付してもらうこともできます。
■年末近くになって転職した場合も、今の会社で還付してもらえるのか?
年末に在籍する会社で還付してもらえます。「年末に在籍する会社ではわずかしか源泉徴収されていないのに?」と思われるかもしれません。しかし、年末に在籍する会社は、全員の源泉所得税を納付する際にあなたに還付した分を差し引くことができるのですから損はしないのです。
≪還付金の財源がない!≫
年末調整の還付金は、会社などの源泉徴収義務者が従業員などへ給料を支払う際に天引きして預かっている分の中から、あるいは今後納付する源泉所得税から差し引くことができます。前者について「預かっている税金≧還付金」、後者については「還付の翌月に源泉徴収する額≧還付金」であれば「財源」に困りませんが、還付金があまりにも多いと「財源」に困る場合があります。
「財源不足」となるのは次のようなケースです。
●住宅借入金等特別控除を受ける者が多数いる
毎月の給料、賞与では考慮されていませんので、年末調整で一度に影響が表れてしまいます。
●各自で国民健康保険と国民年金に加入している(社会保険に加入していない)
上記の住宅借入金等特別控除と同じです。
●年度途中で大幅な賃下げをした
途中の月まで高税率で源泉徴収されていたので、年末調整で低税率に修正されるからです。
「住宅借入金等特別控除」や「各自で国民健康保険と国民年金に加入している」など年末調整独自の控除が多く、しかも、会社の経営状況が苦しそうならば、自らが税務署で確定申告することをおすすめいたします。税務署ならば確実に還付してくれます。会社の本音は、「うちには財源がないので、自分で確定申告をして取り返してくれ・・・」なのですが、それがいえないのです・・・
≪還付金を返してくれない!≫
年末調整が終わり源泉徴収票も発行しているのに、年末調整による還付金を従業員に返していないケースがあるようです。当然、従業員としては還付を要求できます。
●税務署は助けてくれるのか?
助けてくれないと思います。というのは、還付金の返金は会社と従業員の関係であり、税務署はそのような「民事」に介入する権限はないからです。
●労働基準監督署?
まだ、こちらのほうが税務署よりも力になってくれると思います。
●会計事務所(税理士)
会計事務所(税理士)に年末調整作業を依頼している勤務先もあります。その場合、会計事務所でわかるのは還付金がいくらであるかだけです。
【還付金の多い従業員を不快に思う経営者がいます】
還付金の多寡と人事評価や業績は一切関係がありません。しかし、還付金の多い従業員を不快に思い、還付を渋る経営者がいます。もし、会社の経営者がそのような「偏見」を持っているのであれば、還付金が多くなる原因である住宅ローン控除や扶養親族の社会保険料の控除は自らで確定申告をするのも一法です。
★還付金を返さずに勤務先が倒産した
どうなるのでしょうかね?
【まとめ】
●還付をしてくれるのは会社です。
●年末調整の結果は還付となる場合と追加徴収となる場合があります。
●還付あるいは追加徴収は年内最後の給料で行われることが通常です。
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