税金の裏技!?

 

税務署に顔の利く税理士に依頼する

「税理士にさえ頼めば」

 

 

確かに、税金の計算は大変複雑で、処理方法によって税額が大きく異なることがあり、有利な選択を怠る税理士がいるのも事実です。また、税務調査をすべての納税者に行うのは物理的に不可能であり、同じように違法な申告をしていても、税務調査で誤りを指摘され追徴課税がされる場合と税務調査そのものが行われない場合があります。このようなことが高じて、「依頼する税理士によっては、税金がいくらでも減らせる」と考えてしまう場合があります。

 

税務署に顔の利く税理士がいるとお考えの場合には、税理士に依頼する際は、必ず次のことを確認してください。

 

「私は、何がどうであれ、○○○○円しか納税するつもりはありません」

「私は、税務調査には応じません」

「以上、よろしいでしょうか?」

 

首を縦に振る税理士はいないでしょう。

 

1 悪徳税理士?

 

その是非はともかくとして、脱税相談に対して次のような対応をする税理士がいます。

 

「申告するのは貴方です。私は、貴方にいわれるとおりの申告書を作成するだけです」

 

その税理士が、後の税務調査の際にどのような対応をしているかは、容易にご理解いただけるかと思います。(無下に依頼を断ると商売にならないので、適当なところまで報酬を取って、悪事が発覚した時点で逃げてしまいます。)

 

このような場合に、税理士の責任がどうなるかは大変難しい問題だと思います。税理士には刑事責任と民事責任が発生するでしょうが、刑事責任はともかくとして、違法な行為をするための契約(?)に違反した場合の民事責任の追及は極めて困難らしいです。つまり、納税者が「税理士が首を縦に振ったので」と税務署に主張しても、追徴課税分を納付するのは納税者です。また、税理士に「先生(税理士)がよいといったから」と責任追及しても、税理士は「税務調査で是認されることを、約束した覚えはない(そんな約束は違法なので無効だ)」と返してくるでしょう。

 

結局は、納税者が泣き寝入り(?)するしかありません(自業自得となります)。なお、その税理士に支払った報酬は何の役にも立たなかったということになります。要するにだまされたということです。

 

2 弁護士と税理士の違い

 

弁護士は極悪人の弁護をしているではないか!? 

税理士は、もっと納税者の要望を聞け!!

 

返答に困ります(無力感を感じます・・・)。

 

弁護士は、極悪人の「基本的人権」を擁護しているのでしょう。弁護士は基本的人権の擁護と社会正義の実現という重責を背負っています。一方、税理士は納税者の依頼に基づき、ある意味で納税者の下請けとして、税法に従って事務的に業務を行うにすぎません。つまり、税理士は、「納税者が自身でするのが煩わしいこと」を代行する存在でしかないのです。それを証拠に、税理士への依頼は法的に義務付けられていません。一方、刑事裁判においては必ず弁護士が必要です。そんな、税理士に過大な期待を抱くのは禁物です。つまり、刑事裁判の場合には必ず弁護士が無報酬で弁護をしてくれますが、税金で困っていても無料で助けてくれる税理士はいないということです。

 

ほとんどの先進資本主義国には税理士制度が存在しません。(ドイツには類似する制度が存在します。)わが国において、税理士資格を得る方法は、税理士試験という大変厳格な国家試験(わが国の国家試験の中でも最難関クラスです)に合格するだけでなく、税務署での一定期間の勤務経験、公認会計士や弁護士からの横滑りなど多様な方法があります。これは、税理士の職務に弁護士のような重みがないので、税理士の資格要件を厳格に定める必要がないことによります。

 

税理士には税額を確定する権限はありません。まずは、納税者が自主的に申告し、その税額が間違っていれば税務署がこれを修正するのが申告納税制度なのです。

 

★事前相談と事後相談

税理士と弁護士のもう一つの違いとして、「税理士業務(申告書作成)が事前相談」であるのに対して、「(刑事裁判における)弁護士業務は事後相談」であるということです。弁護士は極悪非道な殺人犯の事件後の裁判においての弁護はするでしょうが、「人殺しをしたいという事前相談」には当然「NO」と答えるでしょう。

 

納税者としての基本的人権はどうなっているんだ!?

 

おっしゃるとおりです。「税務署と徹底的に戦う!!」をご覧ください。

 

 

≪八百長税務調査(「税務署に対する顔」の真実)≫

 

(1)「すべて、私に任せてください」

 

(2)「後は、私に任せてください」

 

税務調査の際、税理士からそのように告げられ、うなずいたことはないでしょうか。

 

(1)について

 

ほとんどの納税者は、できれば税務署とは接触したくないと考えますし、経理や税務についてあまり知識がありません。税理士にすべてを任せたいのは人情でしょうが、あまり感心できません。たしかに、経理や税務には専門的解釈や判断が伴います。しかし、税務調査において大切なのは専門的解釈や判断もさることながら、それの対象となる「事実関係」です。裁判は、裁判官、検察官、弁護士だけでは成り立ちません。原告、被告、その他の人に出廷を求め、裁判の原因となっている「事実関係」を把握しない限り正しい判決は下せません。

 

税務調査も同じです。

 

「すべて私に有利なように解決してくれる」と信じていると、影で何をされているか分かりません。税務調査の主役は税務署と納税者であり、ある意味で税理士は両者の通訳と考えなければなりません。

 

(2)について

 

現場の調査がひととおり終了したならば、調査官は発見された問題点を納税者と税理士に告げるのが通常です。この問題点は次の二種類があります。

 

「修正が決定的な事項」

 

「修正するかどうか税務署内での再検討が必要な事項(場合によっては修正を伴わない指導的事項)」

 

税理士によっては、両者の区別を納税者に説明せず、後日の税務署との折衝に一人で赴き、後者が取り消されたことを「手柄」とする場合があります。くれぐれもご注意ください。

 

税理士の多くが税務署OBです。そんなことから、わが国では、「納める税金はお上(税務署)と先生(税理士)が決めるもの」との偏見が根強く残っています。また、税務当局、納税者、税理士(税務についての代理を行う者)の法的関係について未整備の面があります。納税者をないがしろにして、「密室」で税務調査の結果が決まるのは明らかにおかしいことです。

 

ただし、今後、制度がどのように変わっていこうとも、納得できる税務調査(追徴課税されないという意味ではありません)は、納税者の「正確な事実認定を受けるという意識」と「正確な事実認定を受けるための正確な資料(帳簿とその関連資料)の用意」なくしてありえないことに変わりはないでしょう。

 

当然、納税者側にこれらが備わっていれば、税務署は適法で誠実な税務調査を行います。

 

 

■税務調査を断る理由(日程を変更してもらう理由)

 

税務調査は断ることができます。調査の通知を電話で受けた際、税務調査を受けることができない理由を告げれば調査官は了承してくれます。ただし、断るといっても結果的には「調査日程の変更(延期)」にすぎず、税務調査の対象から完全に外してもらうことはできません。税務調査を断る理由としては次の二つがあります。

 

〇時間的な理由 

税務調査では「納税者本人」あるいは「納税者本人とその税理士」への質問が必ず行われます。ですから、帳簿や領収書などさえあればという訳にはいきません。納税者あるいは税理士の都合がつかない場合には、税務署が指定してきた調査の日程を変更してもらうことができます。

〇物理的な理由 

税務調査を受けるには、調査官が帳簿や領収書を見る、納税者や税理士に質問することができる最小限の空間が必要です。この空間が一時的な理由により確保できない場合(事業所の改装工事をしているなど)には、状況が変わるまで調査を待ってもらうことができます。

 

★税理士に調査の立会を依頼する(多少の時間稼ぎはできます) 

申告の段階から税理士に依頼している場合には税務調査の通知も税理士にされます。しかし、申告を自身で行っている場合には納税者本人に通知がされます。事後的に税務調査の対応(一般には立会といいます)のみを税理士に依頼するには、税務署に「税理士に立会を依頼する旨」を告げるとともに「税務署への委任状の提出」をできるだけ早くしなければなりません。「知っている税理士の名前を告げる」だけではどうにもなりません。

 

★事前通知のない税務調査を断る 

とりあえず調査官を応接室などで待たせ、しばらくして上記の理由を告げれば調査官は引き揚げてゆきます。「帳簿はあそこにあるので勝手に見ろ!」よりも「日を改めてください。見せるべきものは全て見せます」のほうがよほどよいと思います。もっとも、これがいえないから抜打ち調査をされているのです。調査官もあっさりとは引き揚げないのです。

 

■帳簿は少しずつ見せる(税務調査で時間稼ぎは必要か?)

 

「帳簿は少しずつ見せろ」「調査官と雑談しろ」「昼休みは長めの食事に誘え」など、税務調査の際には「時間稼ぎ」をして調べられる時間を少しでも少なくするのがよいという「言い伝え」があります。こんなことはしないほうがいいに決まっています。

 

「昭和時代」、いわゆる「優良法人」と呼ばれる高額納税企業への形式的な税務調査でこのようなことが行われていたそうですが、今時こんなことをすればその調査官は「クビ!」でしょう。誰かが密告をする、ネット上で公表する。現代はそういう時代ですから。

 

調査に必要な帳簿類は、調査の前日から調査を受ける部屋にすべて用意しておくことです。すべて並べておく場所がない場合には調査当日に調査官が要求する帳簿類を差し出すしかありません。次回、数年以内に再び税務調査が行われるかどうかの判断要素として、「調査への協力度」がかなり重要な要素になっている模様です。調査に協力しないということは、十分に調べることができなかったのですから、次回に調べるしかありません。場合によっては、次回、今回の調査の対象期間を再び調べられるかもしれません。

 

★調査の場所

中小零細企業や個人の自宅の場合には場所の確保が難しいと思いますが、調査官が座れて帳簿を広げられる最低限のスペースは提供しましょう。意図的に調査に不向きな場所しか提供しないことは調査官の心証を悪くするでしょう。当然、調査の効率が落ちるわけですから、再び調査の対象となる可能性が大きくなります。

 

★調査官が帳簿を持ち帰る

時間稼ぎをするとこうなってしまう場合があります。そして、署内で丹念に調べ上げて、呼び出されます。

 

★2日目から調査官の人数を増やす

時間稼ぎなどの「調査妨害」が過ぎると、調査官の人数を増やして「威圧」してくる場合もあります。

 

 

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