所得税から控除しきれない住宅借入金等特別控除は住民税から控除できます!

2008年1月7日(月)

 

【参考】

総務省サイト

「国から地方への税源移譲(三位一体の改革)身近でよりよい行政サービスを目指して」

http://www.soumu.go.jp/czaisei/czaisei_seido/zeigenijou2.html

 

 

1.概略

 

国から地方への税源移譲により所得税(国税)が減ったことから、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を所得税から全額控除できないこともあります。  

平成11年から18年末までに入居(居住)し平成19年以降の所得税から控除しきれなかった額がある場合は、市区町村への申告により翌年度の住民税(地方税)から控除することができます。

 

なお、平成19年以降に入居した場合には、たとえ所得税から控除しきれなかった額があったとしても、住民税から控除することはできません。その代わり、平成18年以前に入居した場合よりも住宅借入金等特別控除をできる期間を延長することができます(10年を15年に延長することができます)。

 

 

2.具体的な手続

 

住民税で住宅ローン控除(総務省のサイトではこの言葉を使用しています)の適用を受けるためには、住所地の市区町村に3月15日までに申告をしなければなりません。この申告は、所得税から控除しきれない年には毎年しなければなりません。また、所得税の確定申告(事業所得者や不動産所得者など)や年末調整(サラリーマンなどの給与所得者)をしていることとはかかわりなく別途申告しなければなりません。

 

つまり、通常のように所得税の確定申告や年末調整をした場合にその結果が市区町村へ報告され、自動的に住民税が計算されるのとは違うということです。この点にはとくに注意が必要です!

 

この申告をするための用紙(市町村民税・道府県民税住宅借入金等特別税額控除申告書)は各市区町村が配布していますが、下記で総務省が公表している様式と内容は変わらないと思います。

 

給与収入のみを有しており確定申告書を提出しない納税者用(PDF)

http://www.soumu.go.jp/czaisei/czaisei_seido/pdf/gengakusochi_1_1.pdf

 

確定申告書を提出する納税者用(PDF)

http://www.soumu.go.jp/czaisei/czaisei_seido/pdf/gengakusochi_1_2.pdf

 

 

3.計算例

 

「所得税から差し引けない金額の全額が住民税から控除される!」というわけではありません。税源移譲が行われる前でも、所得税から住宅借入金等特別控除が全額控除できないということはありました。したがって、その部分は住民税からも控除できないということです。

 

(1)所得税から差し引けない額を住民税から「全額控除できる」場合

 

住宅借入金等特別控除をする前の平成19年分の所得税が145,000円(A)、住民税が255,000円(B)、住宅借入金等特別控除が170,000円(C)であるとします。つまり、所得税からの控除不足は170,000円(C)−145,000円(A)=25,000円(D)ということです。

さらに、税源移譲が行われる前の所得税、つまり、平成19年分の所得税を「平成18年の税率」で計算した場合の所得税が280,000円(E)であるとします。税源移譲が行われる前でもこの額が住宅借入金等特別控除の上限でした。

 

(E)>(C)であることから、税源移譲がなかったならば住宅借入金等特別控除を全額所得税から受けられたということです。したがって、所得税からの控除不足額の全額を住民税から控除することができます。

 

結果、住民税の額は255,000円(B)−25,000円(D)=230,000円ということになります。

 

(2)所得税から差し引けない額を住民税から「全額控除できない」場合

 

住宅借入金等特別控除をする前の平成19年分の所得税が72,500円(A)、住民税が127,500円(B)、住宅借入金等特別控除が170,000円(C)であるとします。つまり、所得税からの控除不足は170,000円(C)−72,500円(A)=97,500円(D)ということです。

さらに、税源移譲が行われる前の所得税、つまり平成19年分の所得税を「平成18年の税率」で計算した場合の所得税が140,000円(E)であるとします。税源移譲が行われる前でもこの額が住宅借入金等特別控除の上限でした。

 

(E)<(C)であることから、税源移譲がなかったとしても住宅借入金等特別控除の内170,000円(C)−140,000円(E)=30,000円(F)は控除できなかったということです。したがって、住民税から控除することができるのは、97,500円(D)−30,000円(F)=67,500円(G)となります。

なお、計算結果は住宅借入金等特別控除の上限である140,000円(E)−72,500円(A)でも同じです(申告書ではこのようにして計算します)。

 

結果、住民税の額は127,500円(B)−67,500円(G)=60,000円ということになります。

 

 

ややこしいですね!

とくに、「税源移譲が行われる前の所得税」の計算は、素人ではとてもできないと思います。

 

サラリーマンの人は源泉徴収票を、

確定申告した人は確定申告書の控を持参して市区町村役所に行ってください。

市区町村の職員が何とかしてくれるでしょう。

 

それが、身近でよりよい行政サービスですよ!?

 

 

戻る