築山公認会計士事務所(大阪市北区与力町1−5与力町パークビル7F)


最近の話題(3)


戻る


定率減税

平成11年以後、所得税についていわゆる定率減税が実施されています。定率減税とは、従来の税額から20%を定率で控除する(差し引く)という(ただし上限は25万円)極めてシンプルな減税方法です。誰もが 減税を実感できます。

定率減税は、「経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律」において定められています。
「この法律は、近年における我が国の経済社会の構造的な変化、国際化の進展等に対応するとともに現下の著しく停滞した経済活動の回復に資する個人及び法人の所得課税の制度を構築することが国民生活 及び国民経済の安定及び向上を図る上で緊急の課題であることにかんがみ、その一環として、これらの事態に対応して早急に実施すべき所得税及び法人税の負担軽減措置を講ずるため、個人及び法人の所得 課税の在り方について、税負担の公平の確保、税制の経済に対する中立性の保持及び税制の簡素化の必要性等を踏まえ、この法律が施行された後の我が国経済の状況等を見極めつつ抜本的な見直しを行う までの間、所得税法と法人税法の特例を定めるものとする。」(第1条)

条文を読めば、この法律の趣旨が次のとおりであることは明白です。
●定率減税が景気浮上策として実施されたこと
●定率減税をいつまで継続するかどうかは景気動向を見極めた上で判断すること
●定率減税は抜本的な税制の見直しが行われるまでの特例であること

政府税制調査会は、景気回復を理由に定率減税の廃止を提案しています。各方面からは、景気動向を理由に激しい反対が出ています。政府税制調査会は、定率減税の廃止のほか、消費税率の引き上げ、相続 税の課税ベースの拡大などを提案しています。庶民感覚からすれば景気回復には程遠いのが実情です。確かなのは、不況による税収の落ち込みをカバーしなければならないということだけです。それには景気回 復を待つまでもなく抜本的な見直しが必要なのでしょう。

あわただしい年末に、訳のわからないことを書いて申し訳ありません。

2004年12月11日
公認会計士 築山 哲


楽天とライブドア

日本中が結果を見守っていた、プロ野球パ・リーグの新規参入球団に楽天が決まりました。
楽天、そして惜しくも今回選ばれなかったライブドアともにいわゆるIT企業であり、両社とも業績を悪化される既存企業を尻目に、高成長、好業績でまさに飛ぶ鳥も落とす勢いであります。
最終的に楽天が選ばれたのは、ライブドアよりも規模が大きく事業内容も豊富である(安定性がある)という、極めて教科書的な理由であります。

いつの時代もプロ球団を保有するのは、その時代の流れに乗る勢いのある企業であり、現在、IT企業こそがその適役であることはいうまでもないことです。しかし、IT企業には歴代のプロ球団保有企業とは少し異 なる側面があることが、あまり話題にならなかったことは意外な気がします。
新興IT企業の多くが、高株価を武器に証券市場から資金調達し、その結果として潤沢な資金を保有しています。株価は、成長性、希少性、アイデアなど、現実の業績では考えられない理由で推移し、高株価企業は 膨大な資金調達が可能となります。

企業の資金不足を解消するには、業績を改善させる、資金調達する(金融機関などからの借入れ、株主からの出資)の二通りの方法がありますが、楽天とライブドアともに後者の方法により長けています。しかし、 今回の審査においては前者にのみ着目されたようです。

プロ野球界は、証券市場からの潤沢な資金は必要ないのでしょうか?
それとも、損失を蒙った投資家が球場で暴れることを恐れているのでしょうか?

2004年11月9日
公認会計士 築山 哲


固定資産の減損

「固定資産の減損とは、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態であり、減損処理とは、そのような場合に、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処 理である。」(企業会計審議会・固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書より)
減損処理は2005年4月1日以後開始する事業年度(2006年3月終了事業年度)から適用しなければなりませんが、すでに自主的に適用を開始している企業もあります。

減損処理の対象となる固定資産とは、土地・建物・機械などをいいます。いうまでもなく、企業がこれらの固定資産に投資をするのは、その投資額を上回る成果を得るためであります。しかし、成果が投資額を下回 るという状況に陥ることも当然ありえます。このような場合には、その投資が利益を圧迫することはいうまでもないことです。減損処理とは、このような見込まれる損失に応じて固定資産の帳簿価額(決算書の固定 資産の金額)を回収可能な価額まで減額することをいいます。
過去に1000億円で購入した工場設備(土地・建物・機械など)の帳簿価額(当初投資価額−減価償却累計額)が700億円で、今後の回収可能な価額が500億円と見込まれるならば、200億円を減損処理(損失 計上)しなければなりません。なお、回収可能な価額とはその工場設備が獲得するキャッシュ・フロー(現金の収支の差額)であり、それは工場を「稼動させる」か「売却する」のいずれかの方法によって獲得できま す。

減損処理を適用しない場合には、いわゆる損失の先送りとなることは容易にご理解いただけると思います。また、この減損処理が、企業グループの決算内容をより明瞭に表す「連結決算」、金融商品(株式など)の 時価を決算に反映する「時価会計」と同様の路線(わが国企業会計の国際的水準への向上)であることも容易にご理解いただけると思います。

連結決算は企業グループの再編(赤字グループ企業の整理)、時価会計は企業が保有する株式の売却(平均株価の低迷)に拍車を掛けました。減損処理が、より一層のリストラや不採算事業からの早期の撤退 (減損処理を事前に回避する)、最悪の場合には設備投資の抑制(減損処理を恐れて設備投資に慎重になる)につながることが危惧されます。

【追加説明】
新聞や雑誌で、固定資産の減損処理のことを「固定資産の時価評価」と説明していることがあります。時価評価が時価の変動に応じて資産の評価額を「増減」させるものであるのに対して、減損処理は固定資産の 回収不能な部分を「減額」する(損失とする)ことであります。将来の損失となる部分を早期に損失とする会計上の考え方(在庫の評価減や引当金の繰り入れなど)は、なにも今に始まったことではありません。長らく 減損処理がされてこなかったのは、その統一的な方法が存在しなかったからです。
なお、非公開企業も減損処理を行わなければなりませんが、税務上は減損処理による損失が損金算入できないことから、多くの非公開企業は減損処理を適用しないものと思われます。つまり、損失を先送りすると いうことです。(金融機関などの第三者は、減損処理を適用した場合の状態で評価するものと思われます。)

2004年10月12日
公認会計士 築山 哲


会社制度が変ります。

今回も改正会社法についての話題です。
現在、会社法の改正作業が進められており、次のような事項が検討されています。

(1)株式会社と有限会社の一本化
現行の会社法において、株式会社、有限会社共に出資者は有限責任で(出資した範囲内で責任を負う)、その法的な性質は同じであります(有限会社に関する規定の多くは株式会社の規定に準じています)。そこ で、改正会社法においては両会社の区分をなくし、株式会社の規定の中に比較的小規模な会社向けの規定(現行の有限会社についての規定)を設ける予定です。(既存の有限会社はそのまま存続できます。)
(2)最低資本金制度の撤廃
最低資本金(株式会社1000万円、有限会社300万円)が、会社の設立を阻害しているといわれています。また、資本金は「絵に書いた餅」であることも多く(設立時には資本金相当の現金が存在するけれども、い ずれは無くなる)信用の尺度とはなっていないのが実情です。そこで、資本金の金額は個々の会社の必要性に委ねると共に、法的な開示制度(登記や決算の公開)はそのまま存続される予定です。
(3)役員構成の多様化
株式会社(大規模であることが前提)と有限会社(小規模であることが前提)を一本化することから、小規模な会社から大規模な会社までの実情に沿う役員構成を認める必要があります。改正会社法においては、 「役員は取締役1人(監査役は無し)」からと、大変多様な役員構成を選択することができるようになる予定です。
(4)「合同会社(仮称)」の創設
各社員(出資者)が有限責任で、全社員の合議によって経営を行うという新たな組織形態が、「合同会社(仮称)」として創設される予定です。これは、「所有と経営が分離している『株式・有限会社』」、「所有と経営 が一体で各社員(出資者)が無限責任の『合名・合資会社』」とは異なる、まったく新たな組織形態です(米国ではLLPやLLCとして一般的な組織形態となっています)。

会社は、資本主義社会における組織形態としては大変優れた、かつ有意義な仕組みです(出資者、役員=経営者、役員の出資者への報告義務など営利追求に必要不可欠な機能を備えています)。この会社とい う存在に対して、いたずらに法的規制を加えることは、資本主義社会の発展を阻害することにつながりかねません。
現在検討中の改正会社法の内容は、事業意欲を持つ多くの人々が、会社という仕組みを制度上利用しやすくするという大変歓迎すべきものであります。

今後は、税、社会保障、証券、金融などの他の制度も、会社法と同様の方向に進むことが切望されます。

2004年9月9日
公認会計士  築山 哲


会計参与!!

改正会社法において創設が検討されています。
会計参与とは、いわば会計専任の役員です。いうまでもなく、会社は株主と債権者のために決算報告をしなければなりません。この決算報告は、専門的知識や判断の上に正確に行わなければならないことは当然 です。しかし、会社役員(取締役)の多くは会計の専門知識を有しておらず、外部者である会計事務所(公認会計士や税理士)に作成を依頼しているのが実情です(特に中小零細企業)。

会計参与は、決算書は会計事務所が作成しているという「既成事実」を法的に認知・強化しようとするものです。しかし、会計参与の創設には次のとおり危惧すべき点があります。
(1)経営者の決算報告への無関心さを増幅する
「決算書は税務署のために作る」、「決算書の内容は先生(公認会計士や税理士)に聞いてくれ」。わが国の経営者の実情(特に中小零細企業)ですが、会計参与がこれをさらに増幅させてしまうおそれがありま す。
(2)会計参与の悪用
昨今、一部において「決算書は資金集めのための道具」との考えが芽生えています。会計参与という制度を悪用することも十分にありえます(会計参与への責任転嫁)。
(3)会社の費用負担
会計参与に一定の法的責任がある以上は、従来の報酬(会計事務所としての報酬)を増額しなければなりません。

もっとも、会計参与の設置はあくまでも任意であることから、上記は杞憂に終わると思います。(現在も、決算や申告を会計事務所に依頼するかは会社の自由であります。)

ごく一部の会計事務所が、会計参与の設置が法的に強制されると誤認されるような説明をしていることがあります(ビジネスチャンスにしようとしています)。会計参与が創設されようが、会社の総責任者が代表取締 役(役員の代表)であることには変わりはありません。
会計参与には、会計についての専門的知識や能力の提供を受けるにとどめなければなりません。

決算書を作成するのは、経営者です。
しかし、外部者のアドバイスとチェックを欠いてはいけません。

2004年8月10日
公認会計士 築山 哲


連結財務諸表(連結決算)

決算の基本形は、法的単位としての会社(わが国の場合には商法により設立された会社)が株主への報告資料として作成する個別財務諸表(個別決算)です。しかし、企業によっては法的単位としての会社を超え た単位で活動していることも珍しくはありません。そこで作成されるのが、親会社を頂点にした企業グループの存在に着目して作成される連結財務諸表です(連結財務諸表を作成する義務があるのは、証券取引法 が適用される上場企業などに限定されています)。
従来、わが国では個別決算が主で連結決算は付け足しのように扱われていました。しかし、周知のとおりの会計ビックバンにより、連結決算主体への移行と、連結決算内容の充実が図られました。2000年3月期 決算から連結決算主体となることが決まった際には、随分と各企業は震撼し、次のような誇大な記事が新聞や雑誌をにぎわしました。
「子会社への損失の押し付けはもうできない!!」

上場企業の2004年3月期決算は大変好調です。2005年3月期もこの好調さを持続する模様です。いうまでもなく決算数値は連結決算によっています。
「業績が好調な子会社があれば業績は上向く」
連結決算の仕組みを知っていればわかることです。連結子会社には、好調な海外子会社も当然含まれます。業績不振の子会社は売却すれば連結決算の対象からはずれます。また、昨今では株式交換(ある会 社を完全子会社にするために自社の株式を子会社の株主に交付する)により業績好調な子会社を簡単に増やすこともできます。
この辺りに、上場企業の業績好調さが庶民感覚とかけ離れている理由があるのではないでしょうか。

別に、業績好調な上場企業が連結決算を悪用しているというわけではありません。しかし、本来は企業内容をより透明にするために、鳴り物入りで行われた連結決算主体への移行が、当初から予想されていた「強 者連合」、「弱者衰退」という副次的効果にここまで拍車をかけるとは大変寂しいことです。

(今後、国際的なM&Aが加速する模様です。わが国の業績好調企業の多くが外国企業の一子会社になった際のことを想像すると、恐ろしくなります。)

2004年7月10日
公認会計士 築山 哲


督促状!?

最近、根も葉もない「督促状!?」なるものを送りつけることが流行しているようです。しかし、その内容は法律的、というよりも常識的にもおおよそ督促状とはいえない内容のものであります。
(1)債権についての具体的な記載がない。(たとえば、債権を譲受けたとあるけれども、どのような債権を、いつ、どこから譲受けた旨の記載がない。)
(2)ビジネスでは通常は使用しない携帯電話の番号しか記載されていない。
(3)弁護士や裁判所についての実名が記載されていない。
哀れになるほど幼稚な文面です。
しかし、このような督促状を送りつけられ、激怒する人、脅える人、場合によっては支払に応じる人がいるのも事実です。企業などからの個人情報流出により過敏になっていること、なんらかの債務を実際に抱えて いることがその原因でしょう。

金融機関の不良債権処理も随分進んだとはいえ、まだまだ道半ばのようです。また、国民年金保険料の未納、各種税金の無申告・滞納も後を絶ちません。
(1)「真の債務」を抱えながら「合法的な督促」を一切無視し続ける人々(背後には真の債権を回収しない怠慢な(?)人々が存在する)
(2)根も葉もない督促状に大混乱する人々
このような対照的な人々が存在するとは、なんとも奇妙な世の中です。
しかし、(2)のような善良な人々が存在するのですから、わが国もまだまだ捨てたものではないのかもしれません。(このような人々は、景気回復と国家財政再建の牽引力になると思います。)
ところで、(1)のような人々と、根も葉もない督促状を送りつける人々、どちらが社会に悪影響を及ぼしているのでしょうか?

2004年6月8日
公認会計士 築山 哲


株高

株価は景気動向を敏感に反映するといわれています。株価は無数の要素が複合的に絡みあって形成されるのでしょうが、以下がその代表的な要素であると考えられます。
(1)個々の企業の業績
株式投資の基本は投資により配当を得ることであり、この配当金額の多寡は企業業績により決まってきます。
(2)投資対象としての株式の選択
世の中には不動産、貴金属、原油など多数の投資対象がありますが、当然のこととして投資家は最も効率のよいものに投資します。
(3)投機資金の流入
株式は格好の投機対象です。とくに現在のようにコンピューターシステムにより運営されている株式市場は投機資金の流入を極めて容易にしています。

歴史上、景気の回復局面に株価が上昇しはじめていることから、年明け以降の東証平均株価の上昇は、長らく続いた景気低迷から脱出するシグナルかもしれません。「企業業績が回復傾向にあること」、「個人投 資家の主体的な売買が増加していること」は、株式市場にとって大変好ましいことであります。
数年前のネットバブルの轍を踏むことなく、株価が形成されて欲しいものです。

2004年5月7日
公認会計士 築山 哲


消費税の徴税コスト

どうしても、消費税の話題になってしまいます。しかし、消費税が企業(特に中小零細企業)に及ぼす影響は絶大です。
この4月以降、多くの事業者が続々と消費税の課税事業者となってゆきます。税収は確実にアップするでしょう。消費税は、広く公平にあらゆる消費に課税されます。税率は取引金額の5%(取引金額総額の5/1 05)で、事業者が納税義務者となり受け取った消費税から支払った消費税を差し引いて納税します。
こういってしまえば話は単純かもしれません。しかし、事業者が納税する消費税の金額の計算は、かなりの力仕事になります。消費税が個々の取引に課税されるという性格から、膨大な数の取引を分類(課税と非 課税など)・集計することが必要です。果たして、どれだけの事業者が申告期限までに、正確に計算できることでしょう。また、この不況下、つい感情的になり、消費税の納税はおろか、納税義務がありながら申告さ えしない事業者の発生も予想できます。
もし、そうなれば、その徴税に当たる税務行政(税務署)の指導や調査についての手数増大は、決して無視できなくなると思います。

ひょっとして、消費税は国民年金の二の舞になるのでしょうか!?

2004年4月3日
公認会計士 築山 哲


消費税・・・・・

来月から消費税法の一部が改正されます。主な改正内容は次のとおりです。

(1)事業者免税点の引き下げ
納税義務が免除される要件である、基準期間(会社の場合には前々事業年度、個人事業者の場合には前々年)における課税売上高の上限が、1000万円(現行3000万円)に引き下げられます。
(2)簡易課税制度の適用上限の引き下げ
簡易課税制度を適用することができる要件である、基準期間における課税売上高の上限が、5000万円(現行2億円)に引き下げられます。
(3)総額表示の義務付け
課税事業者が取引の相手方である「消費者」に対して商品の販売、サービスの提供などを行うに際し、その取引価格を表示する場合には、消費税額を含めた価格を表示することが義務付けられます。

消費税法改正が、中小零細企業に及ぼす影響は絶大であると思います。
今後、当事務所では「消費税Q&A」をはじめとするページで、消費税についての情報の発信に注力してゆく所存です。

2004年3月13日
公認会計士 築山 哲


2004年3月期決算

上場企業の2004年3月期決算の予想数値がかなり具体化してきました。企業間格差がより鮮明となっています。某新聞社によると、上場企業の2割が過去最高益で、全上場企業の経常利益合計の6割を稼ぎ出 しているとのことです。
過去最高益企業の特徴は、以下のとおりに要約されます。
(1)成長分野への注力や特化
複写機、カメラなどをはじめとしたデジタル需要の波に乗った企業の好調が目立ちます。
(2)国際的事業展開
慢性的なデフレにあえぐ国内市場をよそに、国境を越えて収益を稼ぎ出しています。
(3)低コスト体質
業績の好不調にかかわらず、コスト管理を徹底しています。

「売れ筋商品のウエイトを増やす」、「売れる市場を狙う」、「無駄なコストは排除する」は企業経営の鉄則で、過去最高益企業はこれのお手本です。
上場企業の決算数値は経済全体の羅針盤であり、中小零細企業も指針とすべきです。

「おこぼれをもらう(大企業の下請)」
残念ながら、これがわが国の中小零細企業の実情でした。しかし、過去最高益企業にはそんな考えが通用しません。かといって、中小零細企業が過去最高益企業と互角に戦うことなどは不可能です。
中小零細企業は、中小零細企業独自の市場で勝負してゆくしかないのでしょう。
まだまだ、厳しい状況が続きそうです。(3)だけ、過去最高益企業を見習っていてもどうにもなりません。

2004年2月10日
公認会計士 築山 哲


欠損金(赤字)の繰越し

会社などの法人に課税される法人税は、一事業年度の益金の額から損金の額を控除した所得金額に対して課税されます。これは、基本的には損益計算書の当期利益(収益−費用)に一致します。(法人税独自 の観点から、当期利益に一定の調整が加えられることもあります。)
法人税は事業年度単位に課税されることを原則としています。つまり、過去に赤字があっても、その事業年度が黒字であれば法人税が課税されるということです。
会社は継続することを前提としています。事業年度は、継続する会社の活動を人為的に区切ったものに過ぎません。つまり、特定の事業年度が黒字でも、過去の事業年度にそれを上回る赤字がある場合には、通 算しての利益はないということです。
そんなことから、法人税の計算においては、担税力を考慮して過去の事業年度に生じた赤字の一部を黒字の事業年度から差し引くことを認めています。

平成16年度の税制改正で、欠損金(赤字)の繰越し期間が、従来の5事業年度から7事業年度となる見通しです。昨今の不況から多くの企業、特に中小零細企業は多額の赤字を出しています。バブル崩壊後に 目立った放漫経営、過剰な設備投資による赤字(いずれも自業自得)は息を潜め、次のような原因による赤字が目立ちます。
(1)販売不振
(2)主要得意先の倒産(貸倒れ)
(3)固定費の削減不能(特に公租公課や公共料金)

昨今の厳しい経済環境から表向きは事業をたたみ、地下に潜って活動する人が相当数いるように思います。
そんな中、今年からは、配偶者特別控除(配偶者控除の上乗せ部分)は廃止され、消費税の課税事業者は拡大されます。まさに、正直者が馬鹿を見る時代となってきました。

「クロヨン」、「フリーライダー」、「アングラマネー」。
最近は陳腐化してしまったテーマを、再び真剣に議論すべきではないでしょうか。

累積した赤字の埋め合わせは、その原因を生み出した人々にしてもらいたいものです。

2004年1月5日
公認会計士 築山 哲


過去掲載分へ



戻る


公認会計士 築山 哲(日本公認会計士協会 登録番号10160番)



トップページ