論外!!
給料を受け取っていないことにしてくれ!!
ごくまれに、このような「最悪!!」の要望をする従業員がいます。
このような要望をする理由は次のとおりです。
●配偶者、親などの確定申告や年末調整で配偶者控除や扶養控除を受けたい
●自分に所得があることが表面化すると都合が悪い(失業保険・補助金の受取りや公営住宅への入居の要件を満たせない、借金の返済逃れなど)
●正社員として働いている会社に副収入の存在を知られたくない
●その他
このような要望は絶対に聞いてはいけません。このような従業員は「百害あって一利なし」です。「即刻、解雇」すべきです。
よそはやっているそうじゃないか!?
それでは、よいお年を!!
来年は大変な年になりますよ。
■短期雇用者から源泉徴収するのは理不尽ではないか?
感情論としては理解できます。2か月だけ雇われて各月10万円の給料で源泉徴収をされ、その年にはそれだけの所得しかない場合には最終的には課税されないのに気の毒だと思います。しかし、原則どおり源泉徴収するしかありません。例外として、死亡や病気などで退職しその後は就職していないことが明らかである場合には源泉徴収した税金を還付してあげることができます。また、源泉徴収税額表の「日額表」に該当する場合には、相当な額まで源泉徴収が不要となります(要件は厳格です)。
■会社は従業員に断りなく源泉徴収することができます
源泉徴収(含む給与支払報告書の提出)は従業員に断りなくすることができます。法律で定められた義務であるからです。しかし、道義的には従業員を採用する際に、「当社では法律で定められたとおりに源泉徴収はする。嫌ならばよそへ行ってくれ」と告げておくべきです。従業員によっては、当然のことのように「ごまかしてもらえる」と考える場合もあるからです。
■源泉徴収漏れがあれば会社が立替払いしなければなりません
税務調査などで源泉徴収漏れを指摘された場合には、会社が立替えて税務署に納付しなければなりません。「あいつ(従業員)の税金なんだから、あいつから取ってくれ!」は一切通用しません。なぜならば、会社には源泉徴収をして納付する義務があるからです。当然、会社から従業員に請求することができるのですが、すでに退職して連絡が取れない場合には会社の負担となります(この件について税務署は一切手助けをしてくれません)。
自営業者は税金をごまかせる?(サラリーマンは税金をごまかせない?)
大変よく聞く声です。答えにくいことですが、答えないわけにはいきません。
■自営業者は自分で税金の計算をしてそれを税務署に申告します
この申告というものは納税者の自主性が重んじられることから、ともすれば不正な申告が行われる場合もあります。当然、税務署は黙っていません。申告納税制度においては、不正な申告を正すために税務署という国家権力による税務調査が必要不可欠となります。確かに、自営業者は好き勝手に申告できるかもしれませんが、後から税務調査で正されるのです。
不正な申告をしておきながら税務調査の対象とされない場合もあります。すべての納税者を税務調査の対象にすることは不可能であるからです。しかし、税務調査の対象にされなかったのは偶然にすぎません。いつまでも、この偶然が続くとは限りません。また、「いつ税務署にばれるのか?」という精神的苦痛は相当なものです。
税理士が魔法のように税金を減らしてくれる
税理士にはそのようなことはできません。税理士は法律に従って税金を計算するだけです。税金をごまかそうとする納税者にとって税理士は「敵」なのです。「税務署の下請」にすぎません。実際、税理士と喧嘩別れする納税者や最初から税理士に依頼していない納税者が多数います。そして、素人の浅知恵で申告をして「御用」となるのです。
■サラリーマンは勤務先で税金を天引きされます
サラリーマンは毎月の給料、賞与(ボーナス)から税金を天引きされます。ですから、収入をごまかすことができません。サラリーマンの所得の計算は勤務先がしますので、サラリーマンは自営業者のように自らの判断で税金の計算ができません。
サラリーマンが税金で損ばかりしているわけではありません。一部の大企業や公務員が恩恵を受ける「福利厚生」です。実質的には給与収入に等しいような豪華な福利厚生(社員旅行や社宅など)にも課税されない場合があります。また、自らが税金の計算をしないことから税務調査を受ける心配がありません(勤務先が税務署との対応はしてくれます)。
従業員の節税を考えるのは会社の義務?
「○△さんの給料が年間で103万円を超えそうで・・・」
これを大変気にする経営者の方がおられます。
第一に大切なことは、従業員の給料からの源泉徴収を法律に従って正確に行うことです。従業員に対して遠慮する必要はありません。次に大切なことは、従業員から源泉徴収について質問を受けた場合には説明責任を果たすことです。説明の際は、税務署や国税庁サイトで配布されているパンフレットを提示して、源泉徴収の方法が会社独自の方法ではなく法律に従ったものであると強調しておくべきです。
★従業員の節税には必要以上に踏み込まないのが賢明です
特に、「従業員の親族が」配偶者控除や扶養控除を受けるための要件についての説明はほどほどにしておくべきです。執拗に質問をしてきた場合には、「親族の勤務先」に質問するように仕向けなければなりません。この計算をするのは親族の勤務先であるからです。
従業員のために会社ができる節税は、「非課税給与(通勤費など)の支給」「『本人の』所得控除についての説明」程度に限られてきます。従業員からの相談に応じるのは、自社で支給する給料や手当に関する事項に限定すべきです。
「あなた、不謹慎ですよ!」
会社は、103万円に「露骨に」「執拗に」こだわる者には注意をする道義的責任があると思います。このご時世にこんなことがいえる人は幸せだと思います。毎日、毎日、泣きながら職を探している人もいます。失業や収入減少が原因で破滅した人もいます。採用時には103万円にこだわらない者(生活のためにとにかく仕事がしたい者)を優先して採用すべきです。「103万円」が職場のモラルを低下させている例も多いですので、くれぐれもご注意ください。
給与を支給した証拠(税務調査に備える)
給与計算や給与の経理処理に関しては不正が行われやすい傾向にあることから、税務調査においても入念なチェックが行われます。給与を支給したことに関して用意しなければならない証拠資料は次のとおりです。
■従業員の勤務状況を明らかにする証拠
「給与の額は支給をした従業員の給与として適正な額であるのか(労働の対価として支給されているのか)?」
「給与を支給した従業員は実際に勤務しているのか(実在する人物への支給なのか)?」
ここまで疑われます!
入社時に各従業員が書いた履歴書、会社と交わした雇用契約書までもが重要な証拠書類なのです。
「タイムレコーダーを給与計算ソフトに連動させ、給与計算ソフトの計算結果は銀行のシステムと連動している」
そんな、システム(数字)の流れはどうでもよいのです。問題はシステムを流れている個々の「基データの信憑性」なのです。給与計算の算式は正しくても「ウソの基データ」から計算されていてはいけないのです。
■給与計算規程(給与の計算根拠)
給与計算は一定の基準によって行われます。当然、会社ごとにこの基準は異なるでしょうが、「職責」「職能」「学歴」「年齢」「家族構成」などの諸要素によって決定されることから、従業員ごとで異なります。この説明をできるようにしておかなければなりません。
■従業員から受け取る領収書
「領収書さえあれば」は甘いです。しかし、領収書は必ず入手してください。なお、銀行振込みの場合には、銀行が発行する「振込書の控」を保存しておきます。
ご依頼は下記へ
大阪市北区与力町1−5