源泉徴収票の種類?

その年の勤務状況によって内容は大きく異なります。

 

 

源泉徴収票の「様式」は決まったものがありますが、源泉徴収票の「内容」はその年の「勤務状況」によって次のように異なってきます。源泉徴収票の内容によっては、自らで確定申告をしなければならない場合もありますので注意が必要です。

 

【1】1年を通して同じところに勤務していた場合

 

「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の全てに数字が記載されます。年末調整が済んでいるということです。「所得控除の額の合計額」は「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」に基づいて計算されています。当然、「源泉徴収税額」は年末調整後の金額です。

 

【2】年初から年度途中まで失業しておりその後は就職し年度末に勤務していた場合

 

【1】と同じですが、「中途就・退職」の欄に就職した日付が記載されます。

 

【3】年初からの勤務先を年度途中に退職しその後就職した勤務先に年度末は勤務していた場合

 

【1】と同じですが、「支払金額」には前職分が含まれその旨が「摘要」の欄に記載されます。また、【2】同様、「中途就・退職」の欄に就職した日付が記載されます。

 

【4】年初からの勤務先を年度途中に退職しその後は就職していなかった場合(年度末には勤務していない)

 

「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」は記載されていません。年末調整はされていないということです。摘要欄に「年末調整未済」と記載するのが一般的です。「中途就・退職」の欄は退職した日付が記載されます。

 

【5】年初からの勤務先を年度途中に退職しその後就職した勤務先を年度途中に退職した場合(年度末には勤務していない)

 

【4】と同じ源泉徴収票が2枚発行されます。

 

【6】1年を通して同じところに勤務するかたわら別でも勤務していた場合

 

【1】と同じ源泉徴収票(本職分)、「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」の記載がなく「乙欄」に丸印が記載された源泉徴収票(副業分)の2枚です。

 

★確定申告が必要な場合

 

【4】【5】【6】です。全ての源泉徴収票を合計して確定申告をします。

 

 

≪源泉徴収票の偽造≫

 

ここでの偽造とは、組織ぐるみの偽造ではなく、源泉徴収票の発行を受ける立場の従業員が、自身の都合のよいように源泉徴収票を書き換えることをいいます。

 

●確定申告に際しての書換え

必ずばれます。会社が発行した源泉徴収票は、会社が税務署と市区町村役所に提出しているからです。

 

●住宅ローンの申込みなど民間企業に提出する場合の書換え

直ちにはばれません。しかし、市区町村が発行する所得(課税)証明を要求された場合にはつじつまが合わなくなります。市区町村が発行する所得(課税)証明は、会社が発行した給与支払報告書=源泉徴収票をもとに計算されているからです。

 

●会社が発行してくれないので自分で書く

これもばれます。会社が交付してくれないだけで、実際には税務署と市区町村役所に提出している場合もあるからです。

 

★組織ぐるみの偽造

組織ぐるみで源泉徴収票を偽造する場合があります。その多くは税額を少なくすることを目的としていますが、中には勤務先や勤務内容を偽装するケースもあります。また、本人に都合のよい源泉徴収票を発行する業者も存在するようです。組織ぐるみの偽造はすぐにはばれないかもしれませんが、税務調査などをきっかけとしていずれはばれてしまいます。

 

 

≪発行者の押印がない源泉徴収票は無効?≫

 

そんなことはありません。従業員が確定申告をする場合には必ず源泉徴収票の添付が必要ですが、その源泉徴収票に発行者の押印がなくても税務署は確定申告書を受け付けてくれます。税務署は上記の≪源泉徴収票の偽造≫のとおり、源泉徴収票の真偽を確認できるからです。

 

問題は税務署以外に源泉徴収票を提出する場合です(住宅ローンの申込みなど民間企業に提出する場合など)。押印がなければ相手の「心証」が悪く、「押印はないのですか?(本物ですか?)」と聞かれることもあります。

 

源泉徴収票には押印しておくのが無難です。実際、ほとんどの発行者は押印しており、社名の上に角印あるいは会社の実印を押印しています。

 

●個人事業者が発行する源泉徴収票の「住所(居所)又は所在地」と「氏名又は名称」

「住所(居所)又は所在地」は、代表者の住所(住所地で申告している場合)あるいは事業所所在地(事業所所在地で申告している場合)を記載します。

「氏名又は名称」は、屋号+氏名を記載し押印は屋号の角印あるいは個人氏名の印鑑でします。

 

 

≪源泉徴収票の電子交付≫

年末調整の誤りを早期に発見できます!

 

源泉徴収票は紙による交付に代えて電磁的方法により提供(電子交付)することができます。

 

電子交付の方法は次のとおりです。

 

■電子メールにファイルを添付する

■社内LANWANやインターネットなどで閲覧可能にする

■フロッピーディスク、MOCDROMなどの記憶媒体で手渡す

 

源泉徴収票は1月末までに各従業員に交付しなければならず、多くの企業は1月分の給与を支払うとき(通常は1月下旬)に交付しています。しかし、このタイミングでは従業員が年末調整の誤りに気付くのに遅れ、年末調整のやり直し(年末調整の再調整)が可能な1月末に間に合わず、結局個人で確定申告するしかないことになってしまいます。しかし、電子交付によるならば紙への印刷の手間が省けるのでもっと早期に交付できるのは確実です。

 

■電子交付するには事前に従業員の承認が必要です!

会社独自の判断で「今年からは電子交付!」という訳にはいきません。

 

■電子交付された源泉徴収票は確定申告では使えない!

あくまでも、紙の書面で交付されたものでないと確定申告書の添付書類として認められません。しかし、確定申告をする従業員はわずかでしょうから、希望者にだけ紙の書面を交付すれば済みますので電子交付のほうがはるかに効率的です。(現在普及中の国税電子申告・納税システム(e-Tax)の場合もそのままは使えません。)

 

全従業員にメールアドレスを割り当てて、「連絡の多くはメール」「重要文書の保存はPDFファイル」といった企業も多いと思います。そのような場合には是非とも電子交付を活用すべきです。詳しくは、国税庁サイトの下記のページをご覧ください。

 

「給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A」

 http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hotei/denshikofu-qa/question.htm

 

 

≪給与(賞与)明細と源泉徴収票の関係≫

 

給与(賞与)明細とは、従業員に給与や賞与を手渡す際に一緒に渡す、給与や賞与の計算内容を示した明細書です。様式は会社によって異なります。

 

源泉徴収票とは、1年間(1月から12月まで)に支給した給与や賞与に関する所得税の計算内容を示した書面です。この様式は法律で定められています。平成28年分からマイナンバー制度が始まったことにより様式やサイズが変わりました。

 

給与(賞与)明細と源泉徴収票は連動していますので、両者の内容に矛盾があってはいけません。1月から12月に支給された分の給与(賞与)明細を全て足し算すれば源泉徴収票に一致します。しかし、その一致を確かめるには下記についての理解が必要になります。

 

●源泉徴収票では基本給や諸手当といった区分がない

源泉徴収票の「支払金額」では「給与所得になるもの」を一括して集計しますので、給与(賞与)明細のように基本給や諸手当といった区分はされていません。当然、給料(毎月)と賞与(不定期のボーナス)という区分もありません。

 

●源泉徴収票には非課税の通勤手当は集計されていません

源泉徴収票では「課税の対象になるもの」のみを集計しますので、非課税となる通勤手当は集計されていません。なお、給与(賞与)明細では「課税支給額」「課税対象額」などと表示されている場合もあります。

 

●給与所得控除や所得控除は源泉徴収票でしか表示されません

ですから、給与(賞与)明細を足し算しても答えは出ません。

 

●源泉徴収票では住民税は表れません

源泉徴収票の「源泉徴収税額」では国税である所得税のみを表示していますので、住民税(地方税)の計算プロセス(住民税の所得控除額)や計算結果は表れません。(住民税の計算は、源泉徴収票とほぼ同じ内容の給与支払報告書が勤務先から市町村に送付され、それを基に市町村が計算します。)

 

給与(賞与)明細を集計した結果は源泉徴収票に一致しましたか?

 

一致しない場合は、どちらかが間違っているということです。あるいは、給与(賞与)明細の枚数が足りないということです。ただし、「現物給与」「過年度の源泉徴収漏れ分を今年徴収」などの複雑なケースもあります。

 

 

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