税理士に依頼しないこと(依頼しても無駄)!!
「自分の権利は自分で主張する」
申告納税制度における主役は「納税者」と「税務署」です。税理士への依頼は任意です。税理士に依頼せず、自身でこれが正しいと堂々と主張できる方法で申告することが、なによりの「裏技」です。
自身で申告するのが煩わしい場合にだけ、税理士に依頼すればよいのです。
税理士は、納税者の下請けです!
下請けに、矢面に立つだけの力量はありません。
「先生(税理士)に頼んであるから、私は知らない」。
元請の建設業者が、事故の責任を下請業者に押し付けても無駄なのと同じ理屈です。
「必ず税理士に依頼しなければならない(税金は税務署と納税者の交渉で決る)」との誤認が生じていることは、申告納税制度ひいては民主主義社会の理念の没却であります。早急に払拭しなければならない「国辱」です。
■税理士は無意味な存在か?
そんなことはありません。税理士は納税者にとってなくてはならない存在です。税理士の業務内容の多くは決して高度なことではないかもしれません。しかし、まったくの素人が税理士同様の業務を行うのはそう簡単なことではありません。やはり、税理士に依頼するほうが明らかに効率的です。
ただし、「税理士は無制限に税金を減らしてくれる」とか「税理士に依頼すれば全責任が税理士に転嫁できる」などと考えで税理士に依頼したとしても必ず期待は裏切られます。
■税理士法第1条(税理士の使命)
「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」
しつこすぎますよ!
税理士の依頼者の中には、そう叫びたくなるほど自分の主張を譲らない人がいます。そのような人の共通点は、後で税務署から問題点を追及されたときに「先生(税理士)にそのように教えてもらった!」といって逃げるということです。要するに、本当は駄目とわかっているけれども、責任転嫁の先として税理士を利用しようと考えているのです。
ほとんどの税理士はこのようなことを何度も経験しています。確かに税金の計算方法のすべてが具体的に定められているわけではありません。また、税理士によっても考え方が違います。そんなことから「可能性に賭けてみる」という考えもわからないではありません。しかし、10人の税理士に相談して全員に「NO」といわれたならば諦めるしかないと思います。
11人目の税理士に相談して、やっと「YES」と返ってくるかもしれません。しかし、その税理士は貴方より上手かもしれませんよ!(笑)
依頼者に情報を提供しない税理士
「私が依頼している税理士は何も教えてくれない(役立つ情報を提供してくれない)!」
依頼者が税理士に対して抱く不満の上位にランキングされると思います。しかし、この件について、直ちに「その税理士が悪い!」と決めつけることはできないと思います。
●情報過多が依頼者を混乱させることもあります
●頼まれなくても依頼者にとって最適な方法を選択し実行するのは当然のことです
●情報を都合のよいように解釈する依頼者も存在します
特に、税や会計は専門性が強く、素人である依頼者がこれを理解できない場合も多々あります。
「私にお任せください。裏切るようなことはいたしません。最適な方法で解決させていただきます!」
このような方法も決して間違いではないと思います。
「自分が納得できるまでは・・・」
現在ではネットの普及により瞬時に膨大な情報を入手できるかもしれませんが、ネットで得られる断片的な情報では解決できないことも多いです。また、信頼性の低い情報も氾濫しています。
「人を信じて任せる」
「賭け」かもしれませんが、結果的には最も効率的かもしれません。人間、一人でできることなど限られています。人間、一生かけても「わからないこと」や「できないこと」もたくさんあるのです。
弁護士が行う税務【税理士には脅威!?】
当然のこととして弁護士は税務を行えます。つまり、税理士と同じように税務申告書を書く、税務相談に応じる、税務調査に立ち会うといったことができるのです。なぜならば、税務は税法という「法律」に則って行う必要があることから、法律の専門家である弁護士は「当然」のように税務を行えるのです。
【弁護士法第3条第2項】弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。
従来、弁護士はほとんど税務には興味がありませんでした。しかし、昨今はあらゆる取引に法律問題のほか、税の問題が関連しその税負担によって取引を選択することが増えています。複雑難解な最新の法律テクニックを駆使して問題を解決しても、結果としての税負担が思いのほか重くなることもあるのです。税を無視して法律問題を解決できないので弁護士も税務に注力しなければならないのです。
これは税理士にとって大変脅威です!
なぜならば、弁護士は税理士にはできない「訴訟」という業務ができるからです。税務が税法という法律に則る以上、税務当局と論争になった場合には最終的に裁判で争うことになります。
「税務+税に関する裁判」
ここまでできて初めて「『税法』の専門家」といえるのです。
国策である法曹増員にともなって弁護士業界も過当競争となり、新たな活路を見出さなければなりません。看板に「税務」を掲げる弁護士が増えることが予想されます。しかし、税務は弁護士にとって特殊であることから弁護士の参入は容易ではありません。一般に、弁護士は文章を書くこと(理論構成)は得意であっても計算は苦手であることが多いからです。そこで、弁護士が「税理士を雇用して」法律業務に付随して税務を行う可能性があります。そうなれば、税理士という資格は弁護士の下請け的資格になってしまいます。将来は「税理士事務所(会計事務所)」という看板が消え、「弁護士事務所(法律事務所)」の業務の一部として「税務」が行われるかもしれません。
どこに税務を依頼するか?
結局は国民の選択ということでしょう。
納税者と税務当局が論争になったときには最終的には裁判で争うことになりますが、本当に納税者の主張が正しい場合には税務調査の段階(ここまでは税理士でもできます)で納税者が勝つことが通常です。裁判になるのは、緻密な税法であっても解釈が分かれる本当に「ごくわずかなケース」です。
「理屈はいい!税金はいくらなんだ!」
納税者の「税務サービス」に対するニーズは結局これですよ(笑)。やはり、税理士が優位でしょうね。
(弁護士の税務への参入は限定された範囲になるでしょう。)