節税!!
「方法次第で税金は減る!?」
俗に「節税」と呼ばれているものは、次のとおりに分類できると思います。
1 合法的な節税
青色申告による各種の特典(専従者給与、各種特別償却、青色申告特別控除など)、収入が増えそうな年度に出費も増えるように計画するなどがこれに該当します。節税の中には、「神業」と呼べるような方法があるのも事実です。しかし、このようなケースは、税法上の不備(早急に封じされるのが常です)、その税法上の不備に対応するような出来事(入金や出金など)があってはじめて実現します。多くの人は一生に一度あるかどうかというところでしょう。
世の中には節税を売り物にした税理士が多数います。しかし、節税をするには税理士にそれなりの報酬を支払う必要があります。一般的に節税を売り物にしている税理士は計算高く、採算の取れない仕事はしない傾向にあります。最低でも節税額の半額が報酬で消えると考えてください。どうしても神業的な節税をしたい場合には、まずは節税希望額の1/4(半額の半額)程度を税理士に渡す必要があります。お金も渡さずに、根掘り葉掘りと税理士にたずねてもまともな返事は返ってきません。
なお、節税方法の多くが、「課税の繰り延べ(将来的には納税が必要)」か「税金を払うか、他の出費をするかの選択(いずれにしても現金は残らない)」であり、ご満足いただけないものであるのが実情です。そんなことから、節税マニアによってはこれでは飽き足らず、下記2に手を染めてしまっていることがあります。まさに、人生の分かれ道です。
2 特定の者が行った「脱税」で、たまたま税務署に指摘されていないもの
税務署や税理士に相談しても、当然、「NO」との答えが返ってきます。しかし、友人・知人が「誇らしげに」節税方法を語るのを目の当たりにすると、迷ってしまいます。その際は、次のようにすることです。
(1)その友人・知人が依頼した税理士を紹介してもらう
税理士には守秘義務がありますので、あまり多くは語らないでしょうが、それなりに納得のできる結論が得られるのではないでしょうか。
(2)自身で徹底的に調べ、正しいと思ったらその方法で申告する
税法は、複雑、詳細、緻密で、特定の納税者の勝手な解釈や感情が通用しません(同一条件にある複数の納税者の税額は皆同じになります)。ただし、税法には有利不利に影響を及ぼす選択肢が多くその要件は大変複雑です。さらに、緻密な税法にもわずかな「欠陥」や「抜け道」があることもあります。そんなことから、申告に際しては「粘り」が必要となります。徹底的に調べ、解釈し、「これで正しい」と思ったら、その方法で申告してみることです。まずは、国税庁が発行している冊子を熟読し、不明な点は税務署員に徹底的に質問することです。
《高所得となるパターンも二種類ある》
(1)実力(能力)があるので所得も多い
一流のプロスポーツ選手、芸能人などがこれに該当します。
(2)たまたま儲かっている
たまたま、事業内容が時流に乗っている、周囲にお人好しが多い(好条件を受け入れてくれる得意先、低賃金で高能力あるいは従順な従業員、廉価な仕入先などが多数存在する)場合などがこれに該当します。
(1)(2)ともに、合法的な節税をする必要があるのは当然です。ただし、(2)の場合には節税も大切ですが、周囲の「逆襲!!」に備えておく必要もあると思います。実力企業の新規参入や優秀な従業員の退職(同業他社からの引き抜き)に備えて、先行投資や従業員の処遇向上をしておく必要があると思います。くれぐれも、「いずれ駄目になるだろうから、なんとしてでも(脱税してでも)今の財産を残しておきたい」とは考えないほうがよいと思います。遅れてやってくる税務調査で再起不能となるからです。その際、誰も助けてくれる人などいません。まさに、「金の切れ目が縁の切れ目」です。
■節税をするには税理士との信頼関係が必要です。
税理士が裏技を使う場合もあります。
「そんなものあるはずがない!何人かの税理士と会ってみたけれども、ろくな奴はいなかった。どいつもこいつも杓子定規で同じ話しかしなかった。決算書なんて3万円の財務会計ソフトで誰でも作れる。申告書の書き方は税務署で教えてもらう」
率直なご意見だと思います。
「カッコよすぎる」例え話をさせていただきます。「税理士の裏技」は、プロ野球のピッチャーがブルペンやオープン戦では「絶対に投げない球」と同じなのです。税理士は、「この依頼者ならば(尊敬もでき末永く依頼してもらえる)」「これだけの報酬をもらえるならば」と思えてはじめて「裏技」を使います。あなたが会ってきた税理士のうちの何人かは、「・・・ならば引き受けたのに」と心の底で思っていたかもしれませんよ(笑)。
【裏技の一例】
ここで具体的に書くことはできません。要するに、貴方が「なぜ、あの人はあんなことをしているのに税務署にばれないのだろう?」と感じていることです。このようなことの背後には、依頼者と税理士の間に強力な「信頼関係」があります。その信頼関係はビジネスの関係ですので、当然のこととして相応な「金銭の授受」がなければなりません。
■経費の限度額?
「経費の額には、業種や業態、規模によって限度額があるのか?」
一般論として、経費とは事業に必要な(関連する)支出です。事業に必要ならば(関連するならば)、どんなに多額であっても経費にすることができます。反対に、どんなに少額でも事業と無関係な支出は経費にはなりません。
★必要性や関連性はどうやって立証するのか?
正確かつ誠実に記録を残す、つまり領収書などの支出を証明する書類を残すとともに帳簿に記載して、税務署に対して堂々と説明できるようにしておくことです。
★必要性や関連性なんて、しょせんは主観的な判断で決まるのでは?
そうかもしれません。しかし、必要性や関連性は最終的には「裁判」で争うことになります。「よそも経費にしている」とか「支出の内容を憶えていない」ではどうにもなりません。
★減価償却や交際費には限度額があるではないか!?
これが冒頭のような誤解を生む一つの原因です。減価償却は事業年度ごとの償却額に限度があるだけであって、減価償却の対象になる資産の購入額(各事業年度の償却額を合計した額)についての限度はありません。資本金が1億円を超える会社の場合、交際費は経費になりません。これは特殊です。しかし、交際費は無駄な出費の典型で企業の無駄遣いをやめさせて企業を強くしなければならないこと、特定の立場の人しか交際費の恩恵を受けられない不公平を防止することから、特別にこのような定めをしているのです。
■どこまでが(何が)経費なんだ!?(はっきりとしてくれ!!)
「どこまでが(何が)経費か?」、大変関心があり具体的な答えが欲しいことでしょう。しかし、明確な答えはありません。「事業に必要である」という抽象的な答えしかありません。
★調味料(砂糖・塩・酢・醤油・味噌・酒・油・ソースなど)は経費になるか?
飲食店の場合には当然のこととして経費になります。一般的に考えて飲食店以外ならば経費にならないでしょう。しかし、社内に食堂があり、そこで従業員が食事をする、得意先に料理を振舞うなどする場合には経費になります。そこで、こんなことが高じて「自宅兼事務所」の会社が、「従業員が昼食のときに・・・」「毎日得意先が来て・・・」などと屁理屈を考えてしまいます。
「よそもやっている!」「法律のどこに書いてあるんだ!」「先生(税理士)は何もいわなかった!」「以前の調査では指摘されなかった!」ではどうにもなりません。税務署と見解の相違がある場合には最終的には裁判で争うことになります。裁判に関する時間や費用(弁護士報酬や交通費)を惜しまない覚悟がある場合を除いて「際どい」ことはしないに限ります。
★うちみたいな零細企業は・・・
これが税金(税務署)の怖いところです。報道されている多額の脱税事件も最初はここからスタートしているのです。確かに、すべての納税者に対して税務調査が行われるわけではありませんし、税務調査で帳簿や領収書の全てを調べるわけではありません。しかし、税務署は「一定の水準」を超えると相当厳格な態度で挑んできます。
★「一定の水準」とは!?
好きなようにしてください・・・。悪徳税理士には注意してくださいね。実はいるんですよ、悪い奴が!