スポット情報
大阪市北区与力町1−5
平成16年・年末調整特集(1/2)
★≪年末調整・その2(還付金の財源?)≫2004年11月22日(月)
1 超過税額の還付
毎月の源泉徴収で預ったお金は仮の税額にすぎず、年末調整の結果、超過税額(還付)が生じる従業員については、会社から従業員に還付しなければなりません。毎月の源泉徴収税額が10,000円(年間で120,000円を仮の税額として徴収)、超過税額(還付)が15,000円(最終的な税額は120,000−15,000=105,000円)とした場合、還付の方法は次のとおりです。なお、いずれの方法も結果(その従業員の最終的な税額)は同じです。
(1)年内最終給与で徴収と還付を行う
給与明細の「控除欄」で、徴収10,000円(プラス記入。控除欄のプラス記入なので支給額からは差し引きとなる)と還付15,000円(マイナス記入。控除欄のマイナス記入なので支給額に加えることになる)の2段記入する。
(2)年内最終給与で還付のみ行う
給与明細の「控除欄」で、還付5,000円(マイナス記入。徴収10,000円から還付15,000円を差し引いた金額)を記入する。
(3)別途還付する
年内最終給与では、通常月と同様に10,000円の徴収を行い、還付15,000円は別途手渡す。(従業員にとっては、還付されたという実感が湧く方法です。年内最終出勤日や年初の出勤日に還付するのがよいかもしれません。)
2 還付金の財源?
源泉徴収税額は従業員からの「預り金」ですので、還付金は会社が用意しなければなりません(用意できるはずです)。しかし、預かった資金を別途保管していないことも多く、還付金の財源に窮することがあります。強いて財源というならば、来年1月11日(本来の納期限である10日が祝日なので翌日の11日)までに源泉所得税の納付をする際に、12月(納期特例の場合は7月から12月)徴収税額から「超過税額(還付税額)」を差し引いて納付できるということです。(還付税額が過大な場合には、納付の必要がなくなる場合もあります。)
【預り金の保管方法】定められた方法はありません。しかし、専用の預金口座を開設して、そこに源泉徴収した都度預け入れしておくのがよいと思います。特に納税準備預金でしたら納税以外に引き出すことができませんので、運転資金などへ流用してしまう「誘惑」に負けてしまうこともありません。また、納期特例をやめ、毎月の給与支払のときに(銀行に引き出しにいくときに)、その給与についての源泉所得税を同時に納付するのもよいかもしれません。
3 年末調整の期限
実は、来年の1月末まで猶予期間があります。かといって、年明けに年末調整することが「推奨」されているわけではありません。年末調整の諸要素(配偶者や扶養親族の所得など)によっては、年内は未確定のこともあります。そこで、年内は「暫定的数値」に基づき年末調整を行い、1月末までの修正期間を設けているのです(年末調整の再調整)。これでも、間に合わない場合には、個々人が確定申告をします。
《源泉所得税の仕訳》
●給与を支給したとき(源泉所得税を徴収し預かったとき)
給与○○ / 普通預金など○○
預り金○○
いわゆる給与総額から源泉所得税を差し引きますので、会社としては給与総額より少ない金額を支払えばよいということです(ただし、給与総額との差額が預り金であること(後日税務署に納付しなければならないこと)はいうまでもないことです)。
●還付金を支払ったとき(年内の最終給与の際に還付する場合)
◆還付金>毎月の徴収税額の場合
給 与○○ / 普通預金など○○
預り金○○
◆還付金<毎月の徴収税額の場合
給 与○○ / 普通預金など○○
預り金○○
●納税したとき
預り金○○ / 普通預金など○○
毎月の給与が月末払いであるとするならば、この仕訳の結果、預り金勘定(源泉所得税)はゼロとなるはずです(源泉所得税の滞納がない場合)。
《非課税の通勤手当の扱い》
源泉徴収簿の支給額に含める必要はありません。非課税であるから税額の計算に影響しないからです。
《12月分の給与が確定しない》
パートやアルバイトの給与、正社員の残業手当の計算期間が当月1日から当月末日、そして、支給日が翌月25日などとなっている場合には、年末までに12月分(12月1日から31日まで)の金額を計算することできません(不可能ではありませんが、給与計算に少なくとも数日は要する実情からすればかなり困難です)。そこで、次のような扱いが認められています。
●雇用契約や慣習により支給日が定められている場合→その年に支給日の到来している給与をその年の給与の総額として年末調整する。
上記のように計算期間が当月1日から当月末日、そして、支給日が翌月25日の場合には、12月分(計算期間は12月1日から12月末日)の給与は今年の年末調整の給与の総額には含めないということになります。
●支給日が定められていない場合(まったく不定期に支給している)→その年に支給した給与をその年の給与の総額として年末調整する。
《給与が未払いとなっている》
これは、上記《12月分の給与が確定しない》の「●支給日が定められていない場合」と同じように思えるかもしれません。しかし、給与の未払いとは、「給与を支払うことが確定しているけれども支払っていない」ということですので事情は異なります。したがって、給与として確定している以上はたとえ未払いであっても今年の給与の総額に含めて年末調整しなければなりません。
一般にこのようなことになるのは、役員報酬(役員への給与)であることが普通で、経理処理上は役員にいったん給与を支給して、給与相当額(手取り額)を借り入れるという扱いになります。
従業員の給与が未払いとなっている場合(特にしばらく払えそうにない場合)には事態は深刻です。労働関連法規の問題は当然として、その未払い部分の給与が「真に所得になるのか」について従業員の立場が不安定となるからです。(至急、所轄の税務署に相談されることをおすすめいたします。)
《現物給与》
役員や従業員への現物給与(自社商品の無償供与、豪華な社員旅行や忘年会の費用、永年勤続や功労に対する豪華な記念品の購入費用など)が給与に該当する場合には、この部分も給与の総額に含めて年末調整しなければなりません。役員や従業員にすれば、「金銭をもらっていないのに税金だけ取られるとは!?」と反発するかもしれませんが、「受け取った給与で購入したと考えてくれ」と説得するしかありません。
課税の対象となる現物給与があまりにも多く、毎月の給与を支給する際に源泉徴収していない場合には、年末調整で還付はおろか追加での徴収となる場合もあります。しかし、これを放置しておくと後日の税務調査で指摘されることはいうまでもありません。(その源泉所得税を会社が立替払いした後に、役員や従業員に請求することになります。税務調査の際に在籍している役員や従業員の場合はともかくとして、すでに退職して連絡もつかない場合には会社の負担となります。)
★≪年末調整・その1(年末調整のプロセス)≫2004年11月12日(金)
今年も年末調整の時期がやってまいりました。年末調整といっても、あまり実感のわかない方も多いと思いますが、「扶養控除等申告書」、「生命保険料証明書」、「税金の還付」などと聞いてようやく昨年を思い出すのではないでしょうか。
年末調整は、給与所得者の税額を確定・精算するという、給与所得者にとっての「確定申告」であるとともに、給与所得者の「公的な所得証明」の発行手続でもあります。
「融資を申し込むので、源泉徴収票を○○となるように書いてください」。大変愚かな考えです。「定期的に役員報酬を取れていない」、「従業員の給与が支払えていない」、「今年から一部の従業員を外注扱いとした」。不況を反映して、このようなことが多いと思います。「不景気なので税金は関係ない」と高をくくらずに、まずは会計事務所に相談してください。
1 年末調整の対象となる従業員と必要なデータ
年末調整は、各従業員(役員を含む。以下同じ)の年間給与・賞与総額に対しての所得税額(国税)を計算し、毎月の給与支払時に徴収した源泉所得税の合計額(仮の税額)との精算を行う手続です。なお、年末調整の事務手続を行うのは、源泉徴収義務者として従業員から源泉所得税を徴収した会社です。また、年末調整は年内の最終給与を支払う時に行います。
(1)年末調整の対象となる従業員
扶養控除等申告書を提出しており、年間給与総額が2000万円以下で、年末に在籍する従業員が対象となります。なお、年度途中で採用され、年末に在籍する従業員も対象となります。
(2)年末調整の基礎データ
各従業員の最終的な年間の所得税額を計算するには、次のデータが必要となります。
●給与台帳(給与明細控え)=給与・賞与総額(年間)、源泉徴収した所得税額(年間)、天引きした社会保険料(健康保険、年金保険料、雇用保険料)
●扶養控除等申告書=住所、生年月日、配偶者、扶養親族(毎年、年度初めに提出してもらいます。年末までに、変動があれば再度提出してもらってください。)
●保険料控除申告書=生命保険料、損害保険料、社会保険料(個人的に支払った国民健康保険・国民年金保険料など)、配偶者の所得
2 源泉徴収した所得税の還付
上記1の結果計算された年間税額と毎月の源泉徴収税額に差額がある場合には、各従業員に還付(超過税額)あるいは各従業員から追加徴収(不足税額)しなければなりません。
(1)還付となる例
一年間を通して毎月の給与が同額で、年度途中で扶養親族が増えた場合(途中の給与まで年度末より少ない扶養親族数を前提に源泉徴収しているので)
(2)追加徴収となる例
一年間を通して毎月の給与が同額で、年度途中で扶養親族が減った場合(途中の給与まで年度末より多い扶養親族数を前提に源泉徴収しているので)
3 源泉徴収票
各従業員に対して一年間に「支給した給与・賞与」と「徴収した源泉所得税(年末調整後)」の結果要約表です。おなじみ、A4の1/4サイズの小さい用紙です。年末調整が終了したならば(来年の1月末までに)、各従業員に交付しなければなりません。源泉徴収票は、各従業員が融資、賃貸住宅への入居申し込みなどの際に、必ず提出が求められます。大切に保管しておくよう告げておかなければなりません。
4 年末調整の結果報告(各従業員の住所地の市町村への報告)
年末調整はあくまでも「国税」である「所得税」についての手続です。「地方税」である「住民税」については、上記3の源泉徴収票(給与支払報告書)を各従業員の住所地の市町村に提出し(注)、各市町村が計算し会社あるいは各従業員にその税額を通知します。
会社が作成する源泉徴収票は、会社の「内部資料」にすぎません(都合のよいように作成できる)。源泉徴収票は、各市町村に提出されてはじめて「公的証明力」を有することになります。(融資や賃貸住宅への入居申込みの際に、会社が作成した源泉徴収票ではなく、市町村発行の所得証明の提出を求められることが増えています。)
(注)最近話題になっている「フリーターへの住民税の課税強化」はこのことです。現行の制度では、年末調整していない(1月1日現在会社に在籍していない)従業員については給与支払報告書を提出する必要はありません。しかし、これでは住民税の課税漏れとなることから、年末調整していない従業員についても給与支払報告書の提出を義務付けるとの方向で検討されています。(本来、このような場合には、従業員自らが確定申告しその結果が住民税の計算の基礎となるべきですが、現実にはこれができていません。)
《年末調整に協力しない従業員》
扶養控除等申告書に住所と氏名と生年月日だけを記入の上押印してもらってください。そして、「扶養親族、生命保険、損害保険は『なし』で年末調整をします。ご不満がある場合は税務署に行ってください」と告げてください。年末調整は、各従業員からの正確な申告があって初めて正確に行えることは、上記の説明からご理解いただけるかと思います。正確な申告をしない従業員については、会社として安全な方法で処理する必要があります(扶養親族などを推定で決めることは避けなければなりません)。
《配偶者控除や扶養控除の対象となっている従業員は扶養控除等申告書を提出する必要はない?》
まれにある誤解ですが、必ず扶養控除等申告書を提出してもらってください。配偶者控除や扶養控除を受けるには、その配偶者や扶養親族の所得金額が一定金額以下である必要があります。それには、その配偶者や扶養親族の所得金額が年末調整によって確定される必要があるからです(年末調整を行う前提は扶養控除申告書等を提出することです)。
《税務署が配付している「源泉徴収簿」》
年末調整が近づくと、税務署は年末調整に必要な書類一式を送付してくれます(大阪国税局管内の税務署)。その中に、「○○年分給与所得・退職所得に対する所得税源泉徴収簿」という、A4サイズ(印字は緑色)の用紙があるかと思います。この用紙は、給与・賞与、税額の集計から年末調整までの計算作業ができるように作られていますので、これを利用するのが賢明です。
ただし、市販の給与台帳や給与計算ソフトでもこれと同等の作業が可能であるならば、わざわざ「(税務署が配付している)源泉徴収簿」に「写す」必要はありません。
《平成16年なのに17年の用紙が同封されている?》
「扶養控除等申告書」と「源泉徴収簿」は、「平成17年分」となっています。これは、「扶養控除等申告書」は年初に提出する(そうでないと、扶養親族などの状況が判らず毎月の源泉徴収ができない)、「源泉徴収簿」は、毎月少しずつ記入しておけば年末の手間が省ける(?)ということです。
今年、扶養控除等申告書を提出していない従業員(年度途中に採用された)は、昨年配付された用紙を使用する必要があります。また、今年の年末調整の計算作業は、昨年配付された源泉徴収簿を使用しなければなりません。(16年分がない場合には税務署に相談してください。)
《給与所得とは?》
俸給、給料、賃金、歳費および賞与ならびにこれらの性質を有する給与による所得をいいます。年末調整は給与所得のみが対象となります。いわゆる外注費(事業所得)は給与と同じように思えるかもしれませんが(従業員も外注業者もともに労働を提供する)年末調整の対象とはなりません。しかし、現実には給与と外注費の区別が困難であるのが実情です。
《所得とは?》
所得税における所得とは人が得た「経済的な利得」とされています。経済的な利得とは、金銭による収入のみが所得とされるのではないということです(例えば、勤務先からの金銭以外の給付(忘年会、社員旅行など)も所得とされます)。しかし、所得(経済的な利得)といっても、所得の性質や所得を得るにいたったプロセスはそれぞれ異なります。勤労による所得、事業による所得、資産の運用による所得、偶発的な所得など様々です。わが国の所得税は、所得はその内容によって計算方法や担税力が異なることから、所得を次の10種類に分類しています。給与所得はその中の一つにすぎません。
1利子所得、2配当所得、3不動産所得、4事業所得、5給与所得、6退職所得、7山林所得、8譲渡所得、9一時所得、10雑所得(雑所得は他の9種類以外の所得です)
《最終的に所得は合算される》
わが国の所得税はすべての種類の所得に税率を乗じて課税するという、いわゆる「総合課税」であることから(一部の所得は分離課税されます)、上記10種類の所得を最終的には合算しなければなりません。給与所得のみの人の場合にはこの合算作業は不要ですが、所得を合算してからの計算プロセス、すなわち所得控除の差し引き、それに乗じる税率などは複数の種類の所得がある場合と同じです。
《非課税となる所得もある》
本来は所得であっても、国民感情や社会政策の観点、その性質からして所得税の課税の対象とならないもの(非課税となるもの)もあります。(給与所得者の通勤手当のうち一定金額、生活必需品の譲渡による収入、健康保険などの保険給付、失業等給付、損害保険金や損害賠償金で心身に加えられた損害や突発的な事故によるものは非課税となります。)
《給与所得控除》
各人の所得金額を計算するにあたって、まず初めに行う作業が一年間に支給した給与と賞与の合計金額から「給与所得控除」を差し引くということです。所得税の計算における所得(上記《所得とは?》参照)の多くが収入という成果からそれを得るための犠牲(事業所得や不動産所得の場合には必要経費)を差引くという仕組みになっており、給与所得控除はサラリーマンにとっての必要経費と呼ぶべきものであります。(あくまでも計算上差し引きするということであり、給与所得控除を差し引いた金額がいわゆる手取りではありません。手取りは、支給される給与や賞与から社会保険料や所得税を差し引いた金額です。)
《所得控除》
上記《給与所得控除》の金額は、誰であっても給与収入が同じであるならば同様の金額となります。しかし、個人が得た所得は、まずは生活(衣食住)のために消費されることから、所得税を課税するにあたっては生活をするための個人的事情(最低限の生活の保障)を考慮することが必要となります。その個人的事情の課税への考慮は、下記のとおりの「所得控除」と呼ばれるものによって行われています(所得の金額から一定額が差し引かれます)。(この所得控除は、収入を得るための犠牲(収入−犠牲=所得)とは性質が異なります。)
●基礎控除(誰もが認められます)
●配偶者控除(一定の所得以下の配偶者がいる場合に認められます)
●扶養控除(一定の所得以下の扶養親族がいる場合に認められます)
●障害者控除(本人やその扶養親族が一定の障害を背負う場合に認められます)
●老年者控除(65歳以上で一定の所得以下の場合に認められます)
●勤労学生控除(一定の所得金額以下の勤労学生に認められます)
●雑損控除(災害、盗難などにより一定金額の損害を受けた場合に認められます)→年末調整ではなく確定申告で控除します。
●医療費控除(本人や親族の医療費の一定金額について認められます)→同上
《合計所得金額》
控除の対象となる配偶者や扶養親族の「合計所得金額」が、配偶者控除や扶養控除が適用できる要件となっています。なお、ここでの「合計所得金額」とは、所得税におけるすべての所得を合計した金額であり、世間一般における収入=所得ではありません。例えば、給与所得の場合には、上記《給与所得控除》のとおり収入から給与所得控除を差し引いた金額で、年間の給与収入が103万円の場合には給与所得控除の金額が65万円であることから合計所得金額は38万円ということになります(給与しか収入がない場合)。なお、合計所得金額の計算においては、上記《所得控除》は差し引きしません。
《課税される所得金額》
合計所得金額から所得控除を差し引いた金額となります。(税務署が配付している源泉徴収簿では、「給与所得控除後の給与等の金額」−「所得控除額の合計額」=「差引課税給与所得金額」となっています。)
《給与所得に対する税率》
「課税される所得金額」が高くなるに従って段階的に上昇する仕組みとなっています。
●330万円まで 10%
●330万円を超え900万円まで 20%(控除額33万円)
●900万円を超え1800万円まで 30%(控除額123万円)
●1800万円を超える 37%(控除額249万円)
所得が増えるにしたがって税率が高くなっていますが、これは「累進税率」といって所得が多いほど担税力があるという考えによっています。
【計算例】課税される所得金額(給与所得の場合には給与所得金額を差し引いた金額)が650万円の場合
6,500,000円×20%−330,000円=970,000円
【控除額】
上記の税率において20%以上からは、課税される所得金額に税率を乗じた金額から一定金額を控除する(差し引くことができる)こととなっています。これは、同じ税率の水準(20、30、37%のそれぞれの税率となる所得の範囲)であっても、実質的な税率(税額÷課税される所得金額)に差をつけるためです。所得350万円の場合の税額は37万円(350万円×20%−33万円)で実質的な税率は10.5%(37万円÷350万円)、所得500万円の場合の税額は67万円(500万円×20%−33万円)で実質的な税率は13.4%(67万円÷500万円)となります。(所得が多いほど担税力があるという所得税の趣旨にかないます。)このように、所得の金額が区分した税率を超過するにしたがって順次、実質的な税率が上昇する構造を「超過累進税率」と呼んでいます。
【定率減税】
平成11年以降、上記の税率に基づいて計算した税額から、さらに下記の金額が「定率減税」として差し引かれています。
「所得税額(定率減税額控除前)×20%(25万円限度)」
上記の【計算例】の場合には、970,000円×20%=194,000円となります。定率減税額控除前1,500,000円の場合には20%を乗じると30万円となりますので、上限の25万円となります。
《なぜ、源泉徴収するのか?》
所得税の源泉徴収(年末調整)は、税収の平準化や給与所得者の便宜のために行われるとされています。多くの給与所得者=サラリーマンは1ヶ所からの給与所得しかなく、月ごとなどの給与支払時の源泉徴収と年末調整で課税関係を終了させることが税務行政上も効率的であり、給与所得者にとっても自ら確定申告する手間が省けるからです。
《確定申告が必要なサラリーマン》
年末調整は給与所得についてのみ、さらには、給与所得者が選択した1ヶ所からの給与についてしか行うことができません。(選択した1ヶ所からの給与がすべての所得であるとの前提で所得税を計算することから、その人のすべての所得についての所得税を計算できないということです。)ですから、複数から給与をもらっている人、あるいは他の所得(事業所得や不動産所得など)がある人は、複数からの給与、給与と他の所得を合算してあらためて確定申告をしなければなりません。(このように所得を合算すれば、年末調整の際よりも税額が増加することが通常です。しかし、給与所得以外の所得がマイナスの場合には減少します。)なお、すでに源泉徴収されている所得税は、確定申告によって計算した税額(その人の最終的なすべて所得についての所得税額)から差し引くことができます。(二重に課税されることはありません。)
なぜ、このようになるかというと、わが国の所得税は、1年間の「すべての所得に対して課税すること」になっているからです。(複数から給与をもらっている人、給与所得以外に所得がある人にとって年末調整は一部分の所得についての仮の税額計算にすぎないということです。)
「それならば、年末調整はしない」とおっしゃるかもしれません。しかし、年末調整をしない場合(勤務先に扶養控除等申告書を提出しない場合)には、毎月の源泉徴収税額が源泉徴収税額表の「乙欄」という、高い税率で行われますので毎月の手取りが減ります(結果的には確定申告で精算されますが)。
【確定申告が必要となる具体例】
●複数から給与所得がある場合
●年度途中で転職し、年末に在籍する会社で前職分の給与を加算せずに年末調整している場合
●年末調整時には未確定であった事項(配偶者や扶養親族の所得など)が確定した場合
●年末調整が間違っていた場合
●医療費控除、住宅借入金等特別控除(初年度のみ)など確定申告でしか認められない控除がある場合
●年度の途中で退職しその後就職していない(年末調整が済んでいない)場合
今後も、年末調整関連の情報をお伝えしてまいりますので、
引続きご覧いただきますようお願いいたします。
待ち切れない場合には、とりあえず昨年のスポット情報をご覧ください。
年末調整を理解するには所得税の知識が必要です。
所得税につきましては下記のページをご覧ください。
(年末調整に関連する情報も掲載しております。)
来年早々に平成16年用(2005年3月申告用)として更新する予定です。