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築山公認会計士事務所

公認会計士 築山 哲

 

スポット情報

 

このページでは、定時更新(概ね月に一度)では間に合わない、

会計、税務、経営関連の情報をリアルタイムにお伝えしております。

 

 

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≪消費税の免税事業者の範囲縮小≫2003年4月2日(水)

 

平成16年4月1日以後開始事業年度から、消費税の免税事業者の範囲が課税売上高1000万円以下(現行3000万円以下)に引き下げられます。課税事業者となるかどうかは、その課税期間(法人の場合は事業年度、個人の場合は暦年)の課税売上高ではなく、基準期間の課税売上高により決まります。

 

【基準期間】

法人の場合は前々事業年度、個人の場合は前々年です。3月決算の会社の場合、「平成16年4月1日から開始する事業年度」の基準期間は「平成14年4月1日から15年3月31日」までの事業年度です。個人の場合は、「平成17年」の基準期間は「平成15年」です。(この4月以降、続々と「将来の課税事業者」が誕生します。)

 

課税期間の課税売上高が免税点以下(1000万円)であっても、基準期間の課税売上高が1000万円を超えていれば免税事業者とはなりません。

 

【課税売上高】

損益計算書の「売上高」と考えるのは危険です。事業用資産(車両、機械、建物など)を売却している場合は、これも課税売上に含まれます。また、損益計算書の表示上は「雑収入」に含めているものの中にも課税売上高に含まれるものがあります。

売上高に含まれていても課税売上高に含まれないものもあります。「輸出」、「住宅の賃貸収入」がその典型です。

 

「不景気なので大赤字(法人税はゼロ)」、「売上高3000万円なんて夢の夢(消費税の免税事業者)」、「役員報酬なんて取れない(源泉所得税はゼロ)」。

この発想が通用しない時代がやってきました。

 

 

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ようやく所得税の確定申告も終了しました。確定申告の期間中は、「所得税確定申告情報」の更新に注力していましたが、今後は従来どおり、この「スポット情報」の更新をしてまいりますので、再度このページをご覧いただきますようお願いします。

 

≪上場企業の業績が「増益」基調、平均株価8000円割れ≫2003年3月17日(月)

 

業績とは

上場企業の2003年3月期の決算予想が出揃ってきました。多くの企業が「増益」基調で、中には復配や増配を果たす企業もあります。企業業績は「収益−費用=利益」(注)で表わされます。前年度に対して収益が増加している場合を「増収」、利益が増加している場合を「増益」といいます。多くの企業が2003年3月期は「増収」ではなく「増益」で、「リストラによる増益(収益が伸びないので費用を抑えた)」が実情です。しかし、日本経済の牽引車である上場企業の出血が止まったことは歓迎すべきことではないでしょうか。

「これからは反撃してやる」と、上場企業にはがんばってもらいたいところです。

 

(注)実際は次のように段階的に利益を算出しています。

(1)本業の収益−本業の費用=営業利益

(2)(1)営業利益+資金運用による収益−資金調達による費用=経常利益

(3)(2)経常利益+突発的な収益(特別利益)−突発的な費用(特別損失)=当期利益(ここからさらに法人税、住民税、事業税を差し引きます)

 

平均株価と業績

先日、平均株価が8000円の大台を割り込みました。株価の下落が企業業績に与える影響は言い古された感さえあります。株価の下落は企業の財政状態(事業年度末の財産の状態を意味する会計用語)を悪化させます。財政状態は、「資産=負債+資本(株主からの出資と企業が稼いだ利益の合計)」で表わされます。株式は資産に属し株価の下落は資産を減少させ、結果として企業の資本を減少させます(負債は固定されていますので資本が減少します)。また、業績を表す「収益−費用=利益」の費用に株式の評価損(年度末の時価に評価替えする前の金額との差額)は反映されますので、株価の下落は財政状態だけでなく業績にも影響します。

「評価損は未実現の費用」といわれます。一言に費用といっても従業員の給与のように現金の流出が伴うものと、株式の評価損のように現金の流出が伴わないものがあります。そんなことから、「評価損なんて気にする必要はない」、「そのうち株価も上昇するだろう」、「キャッシュフローには影響ない」との考え方(強がり)もありますが、今の日本企業(日本の国)にそんな余裕はありません・・・・・。

 

(1)評価損(10)を計上しない場合の財政状態と業績

資産100=負債60+資本40(うち出資分30、利益10)

収益300−費用290=利益10

(2)評価損(10)を計上した場合の財政状態と業績

資産90=負債60+資本30(うち出資分30、利益0)

収益300−費用300=利益0

【追加説明】2003年3月18日(火)説明の便宜上、前年度までの「累積利益(繰越利益)」はゼロとしております。

 

現行の会計基準では、株式の評価は事業年度末の時価によらなければなりません(保有する株式によっては時価によらず買値である取得原価によるものもあります)。

 

多くの上場企業が3月決算です(法的に3月決算が義務づけられているわけではありません)。これから、上場企業の業績情報が相次いで発表されます。上場企業の業績は「資本主義社会全体の羅針盤」であり、中小零細企業にも多大な影響を与えます。現在依頼している会計専門家(公認会計士あるいは税理士)に「解説」してもらうことをお勧めします。

 

 

≪確定申告です≫2003年2月14日(金)

 

来週から所得税の確定申告が始まります。

確定申告は所得のある人にとっては当然の義務です。しかし、それは同時に税金の還付を受けるための権利でもあります。ポピュラーな医療費や住宅取得控除のみならず、年度途中にリストラで解雇となり以後就職していない人も場合によっては税金が還付されます。

さらに、確定申告の結果は住民税のみならず、国民健康保険、各種公的補助、市町村発行の所得証明の基礎となります。いわば、確定申告は「社会人のパスポート発行手続」なのです。悔いのない確定申告をしてください。

 

当事務所では確定申告の期間、確定申告についての情報を「所得税確定申告情報」としてリアルタイムにお伝えしております。

 

 

≪制度融資の返済条件緩和≫2003年2月5日(水)

 

先日お伝えしたとおり、京阪神地区の信用保証協会による中小企業向け制度融資で返済条件変更が増加しています(これは全国的な傾向だと思います)。

一般的に返済条件変更(通常は返済期限を延長し毎月の返済負担を減らす)にいたるパターンは次の二つに分けられると思います。

(1)毎月の返済が苦しくなってきたので債務者側から返済条件変更を申し出る

(2)期日返済ができなかったので金融機関が強硬な手段の前触れとして債務者との面談を要求し、その面談において返済条件が変更される

当初の約定どおりの返済ができないことが信用低下につながることは当然です。しかし、(1)と(2)では信用の低下度合いが違うようです。(2)は約束を破っていますが(約束の無視)、(1)はあくまでも約束を守っています(約束の変更)。

(2)の場合は、永久追放(今後一切の制度融資が利用できない)もあるようです。((1)でも、しばらくは制度融資が利用できないようです。)

 

(1)と(2)いずれも変更後の返済方法は同様になるでしょうから、(1)を選択することが当然ではないでしょうか。

 

資産や資金は失っても、信用だけは維持したいものです。信用こそが事業存続の根源でしょうから・・・・・。

 

 

≪京阪神の中小向け制度融資、返済条件緩和が急増≫2003年1月29日(水)

 

兵庫、大阪、京都の信用保証協会による中小企業向け制度融資で、毎月の返済額の軽減など返済条件変更の受け入れが目立って増えてきた。兵庫県では昨年4―12月で2万件を超え前年同期比9.2%も増えた。数字を出していない大阪や京都も「膨張してきた」としている。中小の資金繰り悪化が深刻になっているのが背景。

(日経ネット関西版よりhttp://www.nikkei.co.jp/kansai/

 

「何が何でも(約定通り)返済してみせる」

「(約定通り)返済できないのは恥じだ」

 

そろそろ、発想の転換が必要ではないでしょうか。「明日の返済に間に合わない」では遅すぎます。まずは相談してみることです。

 

 

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≪年末調整(その6)≫2003年1月28日(火)

 

1 給与支払報告書のあて先(郵送で提出する場合)

 

各人の住所地の市町村に提出するのは当然として、迷うのは「役所のどの部署」に提出するかです。

ほとんどの自治体は、12月になれば「給与支払報告書・総括表」(給与支払報告書の表紙)を郵送してきますので、それに記載された部署に提出することになります(すでに特定の従業員の住民税を特別徴収している自治体に限ります)。

しかし、初めて給与支払報告書を提出する自治体の場合は大変迷います。「市民税部(課)」、「税務部(課)」、「主税部(課)」・・・・・・など自治体によって部署の名称はまちまちだからです。その場合は封筒の表紙に「給与支払報告書在中」と明記しておくことです。開封する人は戸惑うかもしれませんが何とかしてくれるでしょう(当事務所はこのようにして発送していますが、今までトラブルは一度もありません)。  

なお、自治体が法人市民税の申告書用紙を会社(納税者)に郵送する際、「経理担当者殿」、「経理担当者にお渡しください」などと封筒に明記してくることがあります。お互い許される範囲の「無礼」ではないでしょうか。

 

2 住民税の特別徴収義務者番号

 

上記1の「給与支払報告書・総括表」(給与支払報告書の表紙)のどこかに明記されています。また、住民税の決定通知(5月末)に特別徴収義務者番号が記載されているはずです。白紙の給与支払報告書・総括表(税務署が配布していると思います)を使用する場合はこれを記載しておく必要があります。

なお、初めて特別徴収する自治体の場合には番号がないのが当然です。

 

 

≪年末調整(その5)≫2003年1月25日(土)

 

年末調整と確定申告

 

年末調整作業も、後は法定調書合計表(税務署)と給与支払報告書(市町村役所)の提出を残すのみとなりました。給与所得しかない人が1ヶ所からのみ給与を受け取っており、そこで年末調整をした場合には確定申告の必要はありません。しかし、次のような場合には確定申告をする必要があります。

(1)医療費、寄付金控除、住宅借入金等特別控除(初年度)を受けたい

これらを勤務先でするものと思い込んでいる人がいます。しかし、どうにもなりません。該当者には半日程度の遅刻あるいは早退は認め、税務署あるいは税務相談所に行かせてやってください。

(2)年末調整が間違っていた(税額が多かった)

生命・損害保険料、個人負担の社会保険料(扶養親族分)などの控除忘れが目立ちます。該当者には「次回からは正確に会社に報告すること」を厳重注意するとともに、「確定申告という救済手段」を教えてあげてください。

 

源泉徴収票の再発行に備える

 

各従業員へ交付した源泉徴収票は、「社会人のためのパスポート」としてあらゆる場合に必要となります。税務署から白紙の源泉徴収票が配布されていると思いますが、余った分は残しておいてください。また、余りがない場合には税務署に取りに行ってください。おそらく今年中なら、「平成14年分」と印字された白紙の源泉徴収票が税務署にはあると思います。

なお、年度途中(平成15年中)で退職する者には、この「平成14年分」と印字された白紙の源泉徴収票を「15」と二重線で訂正して交付してください。途中退職者にはタイムリーに源泉徴収票を交付しておく必要があります。そうでないと、年末のあわただしい時期に「今の会社で年末調整のために前の会社の源泉徴収票が必要といわれた」との催促の電話を受けることになります。

 

源泉徴収票への「信奉」

 

源泉徴収票が「社会人のためのパスポート」であるがゆえに、人によっては源泉徴収票に異常な「信奉」を抱いていることがあります。「社長、源泉徴収票を・・・・となるように書いてください」との不純な再発行の依頼については、毅然とした態度で挑んでください。源泉徴収票は会社が作成した内部資料に過ぎません。とくに、名もなき中小零細企業の源泉徴収票など誰も信用してくれません。

昨今、金融機関、家主などは個人所得の正確な把握の手段として、源泉徴収票ではなく公的証明である「市町村発行の所得証明」の提示を要求することが通常です。

 

扶養控除申告書など(年末調整の基となった資料)の保存

 

まれに従業員に返却している会社がありますが、会社で保存しておく必要があります(7年間)。

 

 

≪償却資産(その3)≫2003年1月17日(金)

 

大阪市作成「平成15年度償却資産(固定資産税)の申告の手引き」を参考にしました。

 

申告の必要のない資産

(1)取得価額が10万円未満で、税務会計上一時に損金または必要経費に算入されたもの(購入年度に購入金額の全額が費用処理されるもの)

(2)取得価額が(10万円以上)20万円未満の償却資産で、税務会計上3年間で一括して損金または必要経費に算入されたもの(3年間に毎年均等額を償却する方法)

(3)商品、貯蔵品

(4)無形減価償却資産(ソフトウェア(平成12年4月1日以降取得分)、特許権等)

(5)自動車税または軽自動車税の課税対象となる自動車等

(6)生物(観賞用、興行用のものは申告対象)、立木、果樹

(7)書画骨董(複製等は除く)

 

 

≪償却資産(その2)≫2003年1月15日(水)

 

大阪市作成「平成15年度償却資産(固定資産税)の申告の手引き」を参考にしました。

 

(1)償却資産の種類と具体例

【構築物】広告塔、駐車設備、門、塀など【機械及び装置】機械式駐車設備、印刷機械など【船舶】省略【車両運搬具】大型特殊時自動車(0・00・000・9・99・999ナンバー)、各種運搬具【工具、器具及び備品】パーソナルコンピューター、厨房機器及び用品、冷凍・冷蔵庫、机・椅子、ロッカー、応接セット、室内装飾品など

(2)建築設備の家屋と償却資産の区分

建築設備とは、電気設備、ガス設備、衛生設備、給排水設備、空調設備、消火設備、運搬設備など本来家屋と一体になって家屋の効用を高めるための設備です。このうち償却資産となるのは、独立した機器としての性格の強いもの(例:ホテルの厨房設備など)、特定の生産業務の用に供されるもの、単に移動を防止する程度に家屋に取り付けられているものです。

(3)賃貸ビルなどに附加された内装と附帯設備

賃貸ビルなどを借りて事業している場合、自分の費用で附加施工した内部造作などは、賃貸ビルなどの所有者の所有に帰することについて明確な契約がなく、かつ、賃貸ビルなどの所有者がテナントの償却資産として課税することに異議がない場合は、テナントが償却資産として申告しなければなりません。

【例】(内装)天井、床、間仕切りなど(附帯設備)電気、ガス、給排水、空調設備など

 

経済のソフト化やSOHOといっても、償却資産にまったく無縁ではないようです・・・・・。

 

 

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≪株式会社が役員変更登記を怠った場合の代償≫2003年1月14日(火)

 

株式会社の場合、役員の顔ぶれに変動がなくてもて定期的な役員変更登記(再選したという)が必要です。役員の任期がない有限会社と違って、株式会社では取締役2年、監査役3年と任期が決っています。その際、たとえ役員の顔ぶれに変動がなくても株主総会で再選し再度登記しなければなりません。これを怠っていると、ペナルティが課されるのみならず解散命令が出されることもあります。そうなれば大変なことです。株式会社に限らず、会社が解散になると一切の営業活動が行えないからです(清算業務しか行えません)。

「この不景気に余計な費用がかかる」と、最近は役員変更登記を怠っている株式会社が目立ちます。そんなことから、ペナルティや解散命令が多発しているようです(噂によれば強化の傾向にあるようです)。また、補助金の申請、公的融資の申し込み、公共事業の入札参加なども、登記を怠っている株式会社には認めない傾向にあるようです(考えてみれば、法律を守らない会社が公的制度を利用できないのは当然です)。

「行きすぎた経費削減」も考えものではないでしょうか。

 

【追加説明−監査役の任期について】2003年1月15日(水)

2002年5月1日以後最初に到来する決算期に係わる株主総会で選任される監査役の任期は4年です。(商法が改正されました。)

 

 

≪償却資産≫2003年1月6日(月)

 

 聞きなれない(あるいは聞き過ごしている)言葉かもしれませんが、「固定資産税」と聞けばお分かりかと思います。固定資産税は次のものに課税されます。

(1)土地(納税義務者は土地登記簿または土地補充課税台帳に所有者として登記または登録されている者)

(2)家屋(納税義務者は建物登記簿または家屋補充課税台帳に所有者として登記または登録されている者)

(3)償却資産(土地家屋以外の事業用資産。納税義務者は償却資産課税台帳に所有者として登録されている者)

 いずれも、その年の1月1日現在の所有者が納税義務者となります。(1)土地と(2)家屋は、登記簿上で所有者が判明しますので申告の必要がありませんが、償却資産については所有者自らが1月末までに申告しなければなりません。

 12月に固定資産の所在地市町村(本店と営業所所在地)から「償却資産の申告書」が送付されてきていると思います。「対象となる資産」、「申告書記入方法」、「課税標準」、「税率」、「免税点」などが詳細に解説された冊子が同封されていると思います。これを参考にすれば素人でも申告書は容易に作成できます。

提出がない場合には、後日執拗な催促があります。「償却資産」は年末調整の陰に隠れてつい忘れがちです。くれぐれも、ご注意ください。

 

経済のソフト化が進む中、償却資産が免税点以下の企業が増えています。そんなことから、償却資産の申告を忘れがちです。しかし、案外多いのは償却資産の「減少の申告」を忘れているということです。除却した資産が償却資産課税台帳に登録されたままの状態で、課税の対象となっていることがあります。多くの市町村は、申告書に償却資産課税台帳の内容を同封しています。一度チェックしてみることです。

 

最近台頭が目立つSOHOのネットビジネスなどでは、ほとんどの場合償却資産は免税点以下となるでしょう。償却資産の免税点は150万円以下です。「パソコン」、「椅子・机(豪華な応接セットは無い)」程度では、まずは免税点以下でしょう。なお、自動車は償却資産ではありません(自動車税が課税されます)。

恐れずに、あるだけの償却資産を記入し申告することです。

 

最近、地域密着のパソコンスクールが増えてきましたが、償却資産については注意が必要です。パソコン20台ならば、償却資産は免税点を超えてしまうでしょう。しかし、そのパソコンが「リースやレンタル」の場合には償却資産の対象にはなりません。なぜならば、償却資産は「所有者」に申告義務があるからです。

 

「償却資産の申告書など送られてきていない」場合もあります。市町村によっては、簡易な書面で「当年中に新規取得と除却がないか」について質問し、「あり」あるいは「無回答」の場合のみ申告書を送付していることがあるからです。

 

 新規事業者の場合、ほとんどの市町村が申告書を送付してきます(送付されてこないのは、開業届を提出していない場合と考えられます)。「申告書の書き方がわからない」、「知らなかった」、「何もいわれなかった」が通用しないのは、どの税金も同じです。

 

 

≪年末調整(その4)≫2003年1月6日(月)

 

「年が明けたのに年末調整だなんて」と、お考えかもしれません。しかし、年末調整はまだ終わっていません。

 

(1)源泉所得税の納付

 1月10日が納付期日であることは、いまさらいうまでもないことでしょう。

(2)各人への源泉徴収票の交付(1月末までですが、できるだけ早く)

各人がその税額に納得しなければなりません(税金の計算が正しいということにおいて)。それには源泉徴収票の交付が必要不可欠ですが、案外これを忘れていることがあります。給与計算の不透明性は、従業員の経営者に対する不信感へとつながります。必ず源泉徴収票は交付してください。

(3)各人の給与支払報告書(源泉徴収票)を各市町村に提出(1月末まで)

各人が源泉徴収票(国税)に納得したならば、次は住民税(地方税)です。各人の1月1日現在の住所地市町村役所に、給与支払報告書(名称は異なりますが内容は源泉徴収票と同一です)を提出しなければなりません。各人の住民税は、各市町村役場が計算し6月上旬に会社に通知がきます。会社は、この金額を毎月の給与から分割して徴収します。

【パートアルバイトの給与支払報告書】給与支払報告書は「税額のない従業員」についても提出が必要です。「(年間を通して税額のない)パートやアルバイトは提出の必要がない」との迷信があるようですが、年末調整を行った従業員については全員提出してください。パートやアルバイトを複数の会社でしている人がいます。企業によっては「給与支払報告書を提出しないことをエサにして」、「優秀な低賃金労働者」を多数確保しているようです。税務当局はこのようなケースに目を光らせていますのでご注意ください。これを放置すると、特定の給与所得を隠し本人が納税を免れる、あるいは家族の税額を減額する(家族の所得から配偶者控除、扶養控除を適用する)ことができるからです。

【配偶者控除、扶養控除が適用できないことが「ばれるメカニズム」】答えは「給与支払報告書」であることをご理解いただけるかと思います。

(4)税務署に法定調書合計表を提出する(1月末まで)

 (1)の源泉所得税の納付と(3)の給与支払報告書(源泉徴収票)の各市町村への提出さえ済んでいれば、年末調整は実質的には終了かもしれません。しかし、法定調書合計表は提出してください。これの提出がない場合には、たとえ源泉所得税を納付していようが法定調書合計表を提出するよう執拗な催促があります。

 

 

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≪年末調整(その3)≫

 

(1)源泉所得税の納付期限

1月10日までに納付しなければなりません。なお、それ以前に納付してもかまいません。また、特別な場合は1月20日まで納期限を延長できます(納期特例事業者で12月20日までに納期延長の申請をしており、かつ12月31日現在でそれまでの源泉所得税の滞納がない場合に限ります)。納付する金額は、12月(納期特例の場合は7月から12月)に源泉徴収した金額から年末調整により還付あるいは追加徴収した税額を加減算した金額です。

(2)源泉所得税の納付が不要な場合

このようなケースもありえます。12月(納期特例の場合は7月から12月)に源泉徴収した金額よりも年末調整による還付が多い場合です(源泉徴収の対象がない場合、納付が不要であることはいうまでもありません)。つまり、納付税額がゼロ以下(当然マイナスもありえます)となる場合です。このような場合には納付の必要はありませんが、納付書を税務署に提出する必要があります。納付書の提出は1月10日までに行わなければなりません。なお、金融機関では納付税額がゼロ以下の納付書は受け付けてくれません。また、税務署への提出は郵送でも可能ですが、郵送する場合は納付書控(税務署が受付印を押印します)の返送用封筒を同封してください。納付書控は税務署に対する「抵抗要件」であるからです。

【マイナス納付税額の処理】次回以降の納付税額から順次差し引いて行きます。また、一定の手続きにより税務署から還付を受けることもできます。

(3)従業員への源泉徴収票の交付

 1月末までに交付しなければなりません。しかし、できる限り早めに交付されることをお勧めします。万が一間違いがあった場合、1月末までに「年末調整の再調整」が認められていますが、再調整を有効に行うには源泉徴収票の早期交付が必要不可欠だからです。

(4)報酬料金の支払調書

弁護士、公認会計士、司法書士、デザイナー、講師など一定の職業の者に対する報酬支払に際しては源泉徴収が必要となります。従業員の給料のように年末調整は必要ありませんが、今年1年間の各人に対する支払総額とそれから徴収した源泉所得税額を総括した「支払調書」の作成と本人への交付が必要です。本人への交付は1月末までですが、誤りを早期発見すべく、できる限り早めに交付してください。

(5)源泉所得税の納付ができそうにない

大変困った状況です。なぜならば、源泉所得税は預かった税金だからです。

全ての源泉徴収義務者は1月末までに、前年1年間(平成14年)に支払った給与と報酬、それから源泉徴収した金額の結果要約表(法定調書合計表)を税務署に提出しなければなりません。源泉所得税の納付ができなくても、これは必ず提出することです。そうでないと、後日税務署から執拗な問い合わせがあります(これは、当然かつ必要な合法的行為です)。

「不景気だから」、「構造改革」など、「逃げ口上」が通用しないのが源泉所得税です。

 

2002年12月24日

 

 

≪年末調整(その2)≫

 

(1)超過税額の還付

毎月の所得税の源泉徴収は仮の税額にすぎません。年末調整の結果還付税額が生じる者に対しては、会社から還付しなければなりませんが、その方法は次の通りです(毎月の源泉徴収税額が10,000円で、還付税額が15,000円とします)。

いずれの方法も結果は同じです。

【年内最終給与で徴収と還付を行う】

給与明細の「控除欄」で、徴収10,000円(プラス記入)と還付15,000円(マイナス記入)の2段記入する。

【年内最終給与で還付のみ行う】

 給与明細の「控除欄」で、還付5,000円(マイナス記入。徴収10,000円から還付15,000円を差し引いた金額)を記入する。

【別途還付する】

 年内最終給与では、通常月と同様に10,000円の徴収を行い、還付15,000円は別途返金する。

(2)還付金の財源

源泉徴収税額は従業員からの「預り金」ですので、還付金は会社が用意しなりません(用意できるはずです)。強いて財源というならば、来年1月10日までに源泉所得税の納付をする際に、12月(納期特例の場合は7月から12月)徴収税額から「還付税額」を差し引いて納付できるということです。

(還付税額が過大な場合には、納付の必要がないこともあります。)

(3)年末調整の期限

実は、来年の1月末まで猶予期間はあります。かといって、年明けに年末調整することが「推奨」されているわけではありません。年末調整の諸要素(配偶者や扶養親族の所得など)によっては、年内は未確定のこともあります。そこで、年内は「暫定的数値」に基づき年末調整を行い、1月末までの修正期間を設けているのです(年末調整の再調整)。

 

2002年12月14日

 

 

≪年末調整≫

 

今年も年末調整の時期がやってまいりました。年末調整といっても、あまり実感のわかない方も多いと思います。「扶養控除申告書」、「生命保険料証明書」などと聞いてようやく昨年を思い出すのではないでしょうか。

「不景気なので税金は関係ない」が、正直なところでしょう。しかし、年末調整は給与所得者の税額を精算するという給与所得者にとっての「確定申告」であるとともに、給与所得者の「公的な所得証明」の発行手続きであることを忘れてはなりません。

(1)年末調整のプロセス

 年末調整は、各人の年間給与総額に対しての所得税額(国税)を計算し、毎月の給与支払時に徴収した源泉所得税の合計額との精算を行う手続きです。毎月の所得税の源泉徴収は仮の税額にすぎません。たとえば、扶養控除は年度末の扶養親族の状況により決定されますが、年度途中で扶養親族に変動が生じた場合は、年度途中の徴収に際して考慮した扶養親族数を、年度末の状況にしたがって税額を再計算しなければなりません。

(2)所得税の還付

上記(1)の結果計算された年間税額と源泉徴収税額に差額がある場合には、各人に還付あるいは各人から追加徴収しなければなりません。

【還付となる例】

一年間を通して毎月の給与が同額で、年度途中で扶養親族が増えた場合(途中の給与まで年度末より少ない扶養親族数を前提に源泉徴収しているので)

【追加徴収となる例】

一年間を通して毎月の給与が同額で、年度途中で扶養親族が減った場合(途中の給与まで年度末より多い扶養親族数を前提に源泉徴収しているので)

(3)源泉徴収票

年末調整の結果、すなわち各人に対して一年間を通してどれだけの給与を支給し、どれだけの源泉所得税を徴収したかの結果要約表です。おなじみ、A4の1/4サイズの小さい用紙です。源泉徴収票は各人に交付しなければなりません。

【所得証明としての源泉徴収票】

 融資、賃貸住宅への入居申し込みなどの際に、必ず提出が求められるのが源泉徴収票です。大切に保管しておく必要があります。

(4)年末調整結果の報告(各人の住所地の市町村への報告)

以外に知らない方が多いのですが(特に年末調整を会計事務所に任せきりの場合)、年末調整はあくまでも「国税」である「所得税」についての手続きであるということです。「地方税」である「住民税」については、源泉徴収票(給与支払報告書)を各人の住所地の市町村に提出し、各市町村が計算し会社あるいは各人にその税額を通知します。

会社が作成する源泉徴収票は、ある意味で会社の「内部資料」にすぎません(都合のよいように作成できる)。源泉徴収票は、各市町村に提出されてはじめて「公的証明力」を有することになります。各人の正式な所得証明は、各市町村が発行したものであることをご理解いただけるかと思います(融資や賃貸住宅への入居申し込みの際に、市町村発行の所得証明の提出を求められることが増えています)。

 

「融資を申し込むので、源泉徴収票を○○となるように書いてください」。大変愚かな考えです。むしろ、景気が悪いので、急な融資や転居の可能性が高いだけに、正確な年末調整を行ってください・・・・・。

 

「役員報酬を定期的に取れていない」、「従業員の給与が支払えていない」、「今年から一部の従業員を外注扱いとした」。不況を反映して、このようなことが多いと思います。「不景気なので税金は関係ない」と、高をくくらずに会計事務所に相談してください。

 

2002年11月22日

 

 

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