パソコン導入

 

1.   パソコンの用途と導入の必要性

 

95年冬のウインドウズ95発売以来、パソコンがすっかり普及しました。普及の要因は、「低価格化」と「インターネット」につきるかと思います。現在では、規模や業種を問わず大半の企業がパソコンを保有しています。

しかし、残念ながらパソコンを有意義に使いこなせている企業は特定少数です。ブームに乗ってパソコンを購入したものの「ワープロ専用機」、「見積書作成専用機」、「福利厚生設備(ゲームやインターネット)」に甘んじている企業も多くあります。

「今や、パソコンもリストラの対象」と考えている企業さえあるほどです。

昨今、IT不況が叫ばれていますが、今後もパソコンが企業にとって有用な情報ツールになっていくことは間違いありません。「パソコンで合理化すると値引かれる」とか「電子メールは失礼」などの意見があります。確かにその通りかもしれませんが、特定の業種や業務においては電子商取引や電子メールが常識となる日が来ることでしょう。

これからは、地に足をつけてパソコンを使いこなしていかなければなりません。そのためには、自社にとってのパソコンの用途と必要性を再確認しておく必要があります。

パソコンの用途は次の通りに要約されると思います。

@一般的用途

ワープロ、表計算、給与計算、財務会計ソフトなど

A業種別用途

印刷・デザインのCGソフト、設計のCADなど

B合理化用途

販売管理、在庫管理ソフトなど

C情報発信・受信用途

インターネット(電子商取引、ホームページ、メール)

@もはや常識となりつつあります。社内外での連絡文書、年賀状や暑中見舞は自社のワープロで作成するのが一般的です。企業に集計計算は欠かせず、それに特化した表計算ソフトは大変重宝します。給与計算や記帳・決算は否応なしに行わなければなりません。給与計算ソフトや財務会計ソフトも低価格化し、多くの企業が導入しています。

A業種によっては、パソコンの導入を行わなければ取引先を失うことさえあります。連絡のやり取りは電子メール、受発注はネット経由、データのやり取りは電子記録が浸透している業種や業務が珍しくありません。自社が、この状況に置かれている場合は、時間、労力、費用を絶対に惜しんではいけません。

Bパソコンソフトの大半が、従来人手によっていた作業を、それとは比較にならないスピードと正確性で行ってくれます。単純作業をパソコンに任せ、企画、営業、開発などの「人」でないとできない業務に注力する必要があります。

Cパソコンの普及が生み出した、新たな、予期せぬ用途です。重要性も乏しく緊急性のない連絡は、電子メールが効率的です。また、どこで購入しても同じような商品(事務用消耗品、乗車券など)は安価なネット上での注文に限ります。

 

2.   導入・運用コストの実際

 

パソコンが業務に使えるようになるまでには、次の過程を経なければなりません。

@目的の明確化

1.参照

A機種、台数の決定

@の目的が決まれば、機種(CPU、メモリ、HD容量、デスクトップかノートか)や台数は必然的に決まってきます。ワープロと財務会計ソフトしか使わない場合は、最低性能の機種を担当者分だけ導入すれば十分です。しかし、販売データを全社で共有する、全社員が取引先とメールで連絡を取り合うなどの場合には、一人一台導入しなければなりません。

B設置と初期設定

MS−DOS時代比べれば、かなり設置や初期設定は楽になりました。しかし、まだまだ特殊領域の域を脱していません。特に、LAN設定や周辺機器の増設は困難が伴います。場合によっては、相応の対価を支払って業者に依頼することが懸命です。

Cアプリケーションソフトの習得

パソコンの初心者が、購入したその日から使えるアプリケーションソフトなどほとんどありません。付属のマニュアルの精読、場合によっては有料講習会への参加が必要です。

D業務形態の見直し

従来業務のパソコンへの置き換え、パソコン導入による新業務の発生により、業務形態の見直しを迫られます。

 

購入業者の選定

パソコン販売業者は次の通りに分類されます。

@量販店、通販

低価格で購入できるが、購入後のサポートはあまり期待できない。

A専門業者

価格は@の2〜3倍するのが通常であるが、購入時の設置や購入後の保守サービスも行ってくれる。

BAの業種特化型

価格やサービス内容はAと同様であるが、ユーザーの業界を熟知しており、特殊なソフトを利用するユーザーには向いている。

現在、ほとんどの業者が@に属します。また、個人ユーザーはもとより、企業(特に中小零細企業)もここから購入しています。ABは業者の数が少ないことと、大口ユーザーに力点を置いていることから、中小零細企業は敬遠しがちです。

よく、医者、弁護士、政治家が友人・知人にいれば助かると言います。今後は、コンピュータに詳しい人を身近に持つ必要があります。そして、その人と良好な関係を保たなければなりません。また、相応の金銭的対価も忘れてはなりません。パソコンの普及は低価格社会であるとともに、ソフト化社会でもあるのです。高度なノウハウを有する者は、そのノウハウをそう簡単には安売りしてくれません。

 

3.   問題点の把握

 

パソコン導入運用に当たり、次のような問題点が発生することが通常です。

@用途が明確にならない

各種雑誌、業者への問合せなどの労を惜しんではいけません。しかし、闇雲に目的を探していては時間のロスとなるだけです。同業他社などの動向を参考に、早急に結論を出す必要があります。

A予想外に費用がかかる

「パソコンは合理化の手段」との固定観念を抱かないことが大切です。パソコンは低価格化してはいますが、導入・設置費用や講習会費用は低価格しそうにありません(むしろ、有力メーカーほど高付加価値化を志向しています)。パソコンは、「素材」にすぎません。素材の加工賃次第で成果が大きく異なってきます。「安物買いの銭失い」は避けたいものです。

B操作できる社員が育たない

パソコンの用途と目的が、企業の存続にかかわる場合は、社員に対するパソコン教育費用を惜しんではいけません。

Cパソコンの技能がない

パソコンを使いこなすにはそれ相応の技能が必要です。各ソフトの操作は当然として、購入時の初期設定、バージョンアップ、インターネットへの接続、周辺機器の設置、トラブル対処(フリーズ、ウイルスへの対処)もできなければなりません。

D所有機種の陳腐化

パソコンの進化はとどまる事を知りません。しかし、大きな波は3〜5年周期です。95年のウインドウズ95発売、98年ごろからのインターネットの普及など、大きな周期に遅れないようにさえしていれば問題はありません。

 

4.   パソコンの信頼性

 

現状ではかなり乏しいと考えなければなりません。設置や操作はかなり簡単になってきましたが、「使えないリスク」がまだまだあります。フリーズも頻繁に発生しますし、インターネットに接続している場合は「ウイルスの恐怖」が付きまといます。また、これらのトラブルを「こころよく」対応してくれる業者もほとんど存在しません。

そこで、素人ユーザーは次の対処をするしかありません。

@データのバックアップは必ず取る

FD、MOなどの外部記憶媒体にバックアップを取っておく必要があります。これは、パソコンがどんなに進化しても変わらない「鉄則」でしょう。

A最低二台は保有する

不時のトラブルに備えて、最低二台は保有したいものです。また、新機種購入後も旧機種を保有しておく必要があります。新機種が不調で、旧機種に逆戻りしなければならないことがあるからです。

B新製品の導入は慎重に

新機種やソフトのバージョンアップには不具合が付き物です。世間の失敗例を参考にできるようになってから購入しても遅くはありません。

Cインターネットはリスクを覚悟する

昨今、大流行している「コンピューターウイルス」はプロの仕業です。素人では抵抗できないないかもしれません。しかし、次の対策は講じておかなければなりません。

・「ウイルス対策ソフト」のインストールと定期的なバージョンアップをする

・インターネットへ長時間の接続はしない

・不特定多数とメールのやり取りは避ける

・データのバックアップ

 

 

築山公認会計士事務所

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