記帳・決算・申告から逃れる方法!?
「サラリーマン成り」のススメ
内容2011年6月30日現在
大阪市北区与力町1−5
築山公認会計士事務所・築山哲税理士事務所
わが国における標準的人生は、「サラリーマン」です!
無理して事業なんてする必要はありませんよ(笑)。
最も得な生き方、それがサラリーマンなのです。
痴漢や飲酒運転でもしない限り一生安泰です!
サラリーマン!!
◆会社の意向に従って行動していれば、決まった日に給料がもらえます。(注1)
世の中において何が必要とされているのか、何が正しいのかを考える必要はありません。
◆失敗したときは、自己保身のために恥も外聞も捨てて(表面上反省した振りをして)、
「土下座すれば!」「泣けば!」、それで許してもらえます。(注2)
そうしておけば、すべてを失うことはありません。
このことは、不祥事を起こした企業の役員や従業員のその後の人生を見れば明らかです。
◆倒れたときは国が守ってくれます!! (注3)
(注1)最近では決まった日に給料が払えない企業もあります。
(注2)これで済まない場合も多々あります。
(注3)雇用・労災保険にも未加入という前近代的な企業は除きます。
≪自営業からサラリーマンへの復帰≫
「よい学校を卒業して、よい企業に就職する」
これが、わが国では人生における「鉄則」です。世の中も、それを前提に成り立っています。わが国は、大手企業のサラリーマンと公務員が優遇される(国から保護してもらえる)社会です。そこからはずれた人生に苦痛が伴うのは当然です。
それにしても、記帳・決算・申告は本当に煩わしいです。これから逃れるには、サラリーマンになるしかありません。「脱サラ」という言葉はありますが、「脱自営業」という言葉は聞いたことはありません。しかし、なんとかサラリーマンに戻ってみたいものですね。
≪本当は起業なんてしたくなかった・・・≫
昨今、名目上は独立した事業者であっても、「以前勤務していた会社のみ」からの仕事をしている人が目立ちます(外見上は以前のまま)。元勤務先が、このような施策を採るのは、「人件費の変動費化」「諸経費の削減(特に社会・労働保険料)」「源泉所得税徴収義務の回避」がその主な理由だと思います。
そんなことから、「本当は事業なんてしたくなかった(リストラの一環として事業所得者にされた)」「記帳・決算・申告がわずらわしい」「法人成りしたくない(個人事業者のままでいたい)」と考えている人が多数います。
そんな方は、次の方法を検討してみてください。以前勤務していた会社(現在の元請け)と交渉し、「固定給与(給与所得)+歩合給(事業所得)」「雇用契約を一定期間(最長1年)で必ず更新する」を条件に、「サラリーマン復帰」を目指してみることです(保険の外交員、運転手などはこのようなケースがあります)。
事業所得者であっても、「ほとんど経費がない」「仕事をするのは元請けの事務所」である人が数多くいます。「サラリーマン復帰」により、「社会保険(健保、年金)」「雇用保険」の保障が付きます。また、給与所得控除による節税、事業所得減少による記帳の作業が減ることが期待できます。
土下座してでも頼んでみる価値はあると思います!!
《もう一つの方法》
同業者(以前同じ会社に勤務しており、現在は同じ境遇の者)が集まり、その中で「経営者として才覚のある者」を社長にして会社を設立することです。(取引先は以前勤務していた会社のみとなります。)
実際、よくある方法です。この方法ですと各人の取り分は「給与」となります。会社としての申告は必要ですが、各人は年末調整で課税関係は終了し確定申告の必要がありません。
しかし、「本当に社長になりたい人ならばこのような会社の社長にはならない」「元同僚であるために対等意識が強く指揮命令系統が保てない」「以前勤務していた会社に警戒される(元勤務先の得意先を奪う)」などから、上手くいかないことが数多くあります。
動機はどうであれ、起業した以上は「一国一城」の主です。
記帳・決算・申告ごときで弱音を吐いていてはいけません。
≪長らく一国一城の主であった人のサラリーマン成り≫
上記の方法は、起業して日の浅い人に適した方法ですが、長らく一国一城の主であった人にも応用が利くと思います。なお、次の点が複雑かと思いますが、場合によっては「武器」になるかもしれません。
1 就職先の決定
やはり、現在の取引先に限るでしょう。例えば、販売先である場合には作業員、仕入先の場合には営業マンとして就職します。
2 事業に関する権利義務の整理
事業の後始末ほど大変なことはありません。特に、借金や支出の伴う契約(リース契約など)の整理は大変です。なお、あまりにも借金が多い場合には、就職先を決めた後に自己破産するのも一法です(自己破産すれば一部の職業には就けないことがあります)。
3 取引先との関係
業績不振からのサラリーマン成りといっても、取引先によっては貴方を必要としているところもあります。「取引関係」は、ひとつの財産です。就職先に「持参」するのも一法です。
4 事業用資産の処分
事業用資産で就職先にとって役立つものは、無償あるいは低額で譲渡すれば、就職先からは歓迎されるかもしれません。
≪「サラリーマン成り」しやすい業種(業態)、しにくい業種(業態)≫
1 しやすい業種(業態)
ソフト、デザイン、設計など、どちらかというと特定少数の得意先の特定の作業工程を専属的に請負っている場合には、比較的サラリーマン成りが容易です。契約を雇用契約に切り替えれば済むからです。(特に最近、このような業種業態に非自発的に事業所得者になった人が多い傾向にあります。)
また、会社形態を個人形態に変更する「個人成り」(注)も比較的スムーズに行えます。
2 しにくい業種(業態)
小売、卸売など、自らの看板を掲げ、自らの意思で事業を行っている場合には、サラリーマン成り、それも特に取引先への就職は相当困難です。
なお、ほとんどの場合、「個人成り」(注)は「看板の掛け替え」との扱いになり、信用失墜に直結します。つまり、一度会社を倒産させ、再スタートする扱いとなります。既存の販売先からは取引を打ち切られ(あるいは大幅な発注単価の切り下げ)、仕入先は条件の厳格化(現金前払いなど)を要求してくるでしょう。今後、同じ業界にいる限り、「アイツは昔ギブアップしたことがある。無責任で信用できない奴だ」とのレッテルが貼られ続けることになります。
結局、同業種内でのサラリーマン成りや個人成りがしにくい場合には、事業は完全に清算し、まったくの異業種に「新卒」のつもりで「就職」するしかないと思います。ただし、ほかに能がある場合は別として、年収はせいぜい200〜300万円でしょう。多額の負債がある場合には、就職先を決めた上で自己破産しておくのがよいと思います。
なお、「経験を活かして『役員』で」などとは考えないほうがよいと思います。よその会社で役員が務まるならば、自身の事業で失敗するはずがありません。
(注)「個人成り」とは、会社を個人事業者に変更して事業を継続することです。一般的に会社で事業を行うのはコスト(社会保険料、記帳についての事務費用、税理士報酬など)がかかることから、それから逃れるための場当たり的な方法の典型として「個人成り」が激増しているのが実情です。(個人成りの方法については、「会社から個人事業者に変更したい(個人成り)」をご覧ください。)
サラリーマン
最も得で、最もくだらない生き方です。
楽しいのは、会社を動かしている一握りの超エリート(必要不可欠な人材)だけです。
●超エリートになれる見込みもないのに(超エリートになろうとする意欲もないのに)
サラリーマンを続けている人は、「生ける屍」です。
●ほとんどの人は、学校を卒業してからの約40年間を(人生のほとんどを)、
「安定」と「安全」のために生きているだけです。
●もっとも、最近では「ごみくず」のように捨てられる人が多いのも実情です。
本当に、大変な時代になってきました。
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