私が税理士(会計事務所)を嫌う理由
内容2014年7月23日現在
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大阪市北区与力町1−5
築山公認会計士事務所・築山哲税理士事務所
「我が国の税金は素人では理解できないようになっている。そんなことから税理士という訳の分からない資格が存在し、納税者は税理士に依頼するしかない。でも、考えようによっては『バカとハサミは使いよう』だから税理士に依頼するか!」
こんなひどいことをいった納税者がいます。ここで公表することを躊躇しましたが、このページの趣旨からして敢えて公表させていただきます。(私はこの人と大喧嘩をし、当然のこととして依頼を断りました。税理士ならば誰でもこのようにするでしょう。)
大変残念なことに、税理士についてよくない印象をお持ちの方がおられます。税理士に対して不信感や嫌悪感を抱いている、最悪の場合には侮蔑や嘲笑の対象にされていることもあり上記のような発言をする人もいます。本当に悲しいことです。
このようなことの背景にあるのは、税理士の仕事に対する理解不足です。つまり、税理士の仕事内容を十分知らないまま税理士に依頼した結果、「税理士に自分の要望を受け入れてもらえなかった」ことから「税理士なんてあてにならない」とか「能力がない」と感じてしまうのです。
しかし、どのような職業にも「すべきこと(使命)」と「してはいけないこと」があります。税理士を「本当に」嫌う前に、まずは税理士の仕事を知ってください。
(注)ここで「税理士」とは税理士登録している公認会計士も含みますが、公認会計士が税務を行うには税理士と称しなければなりませんので、ここでは「税理士」と表現させていただきます。また、税理士の事務所のことを世間一般では「会計事務所」と呼ぶことも多いことからこの言葉を使わせていただきます。
1 頭が固い!
わが国は租税法律主義(税金に関する事項は法律で定めなければならない)ですので、申告と納税は税法(税金についての法律)に従って行う必要があります。つまり、各納税者の思いつきや勝手な都合で税額を決定できないということです。当然、税理士も租税法律主義の枠内で仕事をしなければなりません。ですから、これをもって「税理士は頭が固い!」と判断するのはとんでもない誤解ですよ!
■頭が固い=自分の主張(身勝手?)を認めてくれない
■考えが柔軟=何がどうであれ自分の主張を認めてくれる
こんなことでは、やがてとんでもない目に遭います(後日、強烈な税務調査が行われます)。
これは税金に限らずあらゆることに共通するのではないでしょうか?
たとえば、海岸で気分よく遊んでいる最中に「1時間後に津波が来る。早く逃げろ!」といった人に「うるさい!」といっているのと同じです(津波を税務調査にたとえています)。
2 偉そうにしている!
そうですかね?
そんなことはないと思うのですが。
なお、依頼者にとってただでさえ無知な税金のことについて、毅然とした態度を取られることからそのように感じるのかもしれません。(この件については上記1をご覧ください。)
3 報酬が高い
報酬の高い安いは「費用対効果」によるのではないでしょうか。費用対効果の測り方は人それぞれでしょうが、「節税できる額と税理士報酬」、「節約できる時間(現在と将来)と税理士報酬」など、多面的に考える必要があります。なお、2002年4月から税理士報酬は自由化されました。従来は、各地区税理士会で、業務内容とそれについての報酬の最高限度額が定められていました。現在では、依頼者と税理士との間で自由に報酬を決めることができます。
4 申告書作成を依頼しても税務調査が免除にならない
申告納税制度は納税者(納税者に依頼を受けた税理士)の自主性を尊重します。しかし、この申告納税制度においては、ともすればその自主性ゆえに税法に反した申告が行われることがあります。税務の専門家である税理士といえども人間ですので、故意あるいは過失で違法な申告をすることはあります。
残念ながら、税理士は「免罪符」を発行してくれる人ではないのです。
5 何もかもしてくれない
各税理士が引き受けてくれる仕事の範囲は様々です。申告書の作成や税務署との折衝は当然として、領収書の整理、帳面付けなど広範囲です。しかし、「報酬を支払っているのだから何もかもして欲しい(いわゆる丸投げ)」は禁物です。最低でも日々の入出金関連資料(領収書など)は、依頼者側で整理・保存しておくしかありません(まさか税理士が年がら年中依頼者に付き添っていることはできません)。ですから、「依頼すれば私は何もしなくてよい」では、どうにもなりません。
このような考え方の人の多くが、「推計課税」を希望しています。推計課税とは、帳簿に基づくのではなく同業者、規模などを考慮して税額を算出する「苦肉の策」です。かつて、申告納税制度の黎明期(昭和30年ごろまで)には、苦肉の策としての推計課税がかなり行われていたそうですが、現在ではそのようなことをしていると税務署から大目玉を食らいます(申告時はともかくとして、税務調査が大変です)。
6 税理士についての情報(広告)がない
税理士業界は長い間広告が禁止されてきたことから(2002年4月から広告解禁となりました)、いまでも広告には積極的でない傾向にあります。しかし、セミナー、出版、ホームページの開設、電話帳広告、ダイレクトメールの発送などを熱心にしている税理士もいます。まずは、このあたりから情報を入手してはいかがでしょうか。
7 自分でできるので
大変ご立派だと思います。税務申告は納税者自らが行うのが本来の姿です。自分で申告できる場合には、税理士に依頼する必要など一切ありません。
確かに、税務を行うことができるのは税理士だけですが、納税者が申告などをするにあたって税理士に依頼することが法的に強制されているわけではありません。病気やケガのときに、医者に診てもらうかどうかがその人の自由であるのと同じです。
しかし、申告時に問題点を認識していながら自身で申告しておき、税務署ともめたときのみ税理士に依頼しても手遅れのことがあります。税理士に事前に相談し多様な提案を受け、その中から最適な方法(100%希望はかなわないかもしれませんが)で申告することをも選択肢のひとつではないでしょうか。
8 税理士の判が押していない申告書は税務調査の対象とされやすい?
申告において大切なことは、誰が申告書を作成したかではなく、申告内容が適法かどうかということです。しかし、一般に不慣れな人(税理士以外の人)が作成した申告書は誤りも多く税務調査の対象にされやすいのは事実です。
つまり、「税務署は、税理士が関与していない納税者を狙い撃ちし、税理士関与を促進しようとしている(税務署OB=税理士の職域拡大を目指している???)」といったことはないということです。
9 税理士に依頼しなくても大丈夫な人
●適法に納税することは当然であると考えている(美味い節税話を信じない)
●税金についての知識をもっている(税金についての情報収集ができる)
●文章を読むのが好きである(税務署が配布しているパンフレットを丹念に読める)
●事務作業が苦痛でない(公私の区分けができ入出金記録を漏れなく残している)
●期限は守れる(時間を守らないことは悪であると考えている)
●明らかに儲かっていない(所得税は儲けに課税されます)
●税理士や税務署員を見下していない(税金の計算なんて適当にできると思っていない)
●周囲に税金のことでトラブルを起こしている人がいない(朱に交われば・・・)
以上のほとんどに「該当しない人」が、自身で確定申告をした場合には、後日税務署とトラブルを起こす可能性が大いにあると思います。
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「よくある質問」の「会計事務所とはどんなところ」
時代とともに、税理士(会計事務所)の存在意義は変化しています。
このページをご覧いただくことにより、税理士(会計事務所)の存在意義と
依頼者と税理士(会計事務所)のあるべき関係を、ご理解いただけると確信しております。